【ご質問】夫が喫煙歴40年(1日30本)です。結婚して35年余り、自営ですので一緒に過ごす時間が長く、四六時中受動喫煙をしてきたと感じています。副流煙の影響をテレビなどで聞いたことはありますが、どれほどの害なのかがよくわかりません。お教えください(59歳、女性)。
【お返事】喫煙の悪影響については、さまざまな説があります。科学的に厳格に調査されたものとそうでないものとがあり、情報が錯綜(さくそう)している感があります。正しい「たばこの健康被害」を知っていただきたいと思います。
まず、たばこの煙には200種類以上の有害物質が含まれており、そのうち40種類以上に発がん性があるとされています。肺がんが有名ですが、実は他の多くのがんにもかかわっています。循環器専門医としては、がんだけではなく、特に「動脈硬化への影響」が気になるところです。これらの詳細は別項に譲りましょう。
さて、たばこの煙には、喫煙者が吸い込む「主流煙」と、たばこの先端から立ち上る「副流煙」の二つがあります。ご質問いただいた方が感じている「受動喫煙」とは、たばこを自らは決して吸わない人が副流煙あるいは「喫煙者が吐き出した主流煙」を吸わされてしまうことをいいます。
あまり知られてはいないことですが、たばこのフィルターを通ることなく作られる副流煙には、実は主流煙より高濃度の有害物質が含まれているといわれています。
一般に、夫がご質問をいただいた方のような喫煙者である場合、妻が非喫煙者でも、非喫煙者の夫を持つ妻と比べて、肺がんによる死亡率が2倍ほどに高まるといわれてはいます。
同居している子供では、肺炎、気管支炎、中耳炎、気管支喘息などの発症率が高いというのも有名な話です。
また、妊娠中の女性では、一酸化炭素による胎児への低酸素やニコチンによる胎盤への血流低下から胎盤機能の低下をきたす、などということも極めて重要な事項です。早産や胎児の発育障害の危険性が高まるとの報告があります。
さらに授乳期の母親では、母乳からニコチンが赤ちゃんに移行し、ときにニコチン中毒になり、不機嫌、嘔吐、下痢などの症状をもたらすことすらありえます。真の病気なのか、受動喫煙の影響なのかが不明だなどということになったら、それは「父親として寂しい」とは思いませんか?
わたしの「禁煙外来」に、奥さんや子供のためにも禁煙したいという動機付けで来院される方が増えています。いい傾向だと感じています。目標は何であれ、禁煙の成功につながるのであれば、臨床医として大歓迎です。
これらの詳細に関しては、4月16日の『第42回健康教室「高脂血症」の予防と治療を再考する』でも、ご説明させていただく予定です。どうぞお問い合わせください。よろしくお願いいたします。(おおどおり鎌田内科クリニック)
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