■ 日本の省エネまだまだ 長土居さんがスイスの取り組みを取材
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スイス・日本エネルギーエコロジー交流会の長土居正弘さん(盛岡市)は3月、スイスを訪ね、エネルギーアドバイザーの業務、省エネルギー住宅の取り組みを取材してきた。日本には国の定めた次世代省エネルギー基準というものがあるが、長土居さんはスイスの実態に触れ、日本の基準が次世代の言葉とはかけ離れた最低限の省エネレベルと実感させられたという。京都議定書の削減目標に向け、既に可能となっている高い水準の省エネ住宅の周知を図りたいという。
長土居さんは暖房、冷房、加湿、除湿などの機器とシステムの開発・製造などを業務とする企業に長く勤務。退社後はエネルギーアドバイザーなどの肩書きで、室内環境やエネルギーデザインを軸に居住空間作りに取り組む。駐スイスの日本人と交流をしながら、県人3人で同交流会を組織、活動する。
今回の訪問は実り多いものになった。特にもスイスの省エネ住宅事情は「日本の次世代省エネ基準は次世代なのに最低限の基準」と認識するに至った。次世代という表現が「ユーザーにとって最高の基準に見えてしまう」と問題点を指摘する。
日本の省エネ住宅事情は99年、従来の住宅の省エネ基準を改正した次世代省エネ基準(建築主の判断基準、設計・施工の指針)ができ、適合するものを省エネ住宅と呼んでいる。家庭での消費エネルギーの約6割が冷暖房と給湯と言われ、住宅の断熱性能を上げ省エネを図るのが狙い。全体で旧基準から20%程度の削減を目指している。
省エネ住宅の保温性能を見る一つに熱損失係数(Q値)がある。室内外の温度差が1度の環境下、家から1時間に床面積1平方メートル当たりから逃げ出す熱量を表し、数値が小さいほど熱損失が少ないことになる。基準値は気象条件によって6つに地域区分され、北海道などのTは1・6W/(u・K)、岩手の大部分が当たるUは1・9W/(u・K)と定められている。基準を満たせば次世代省エネ住宅となる。
スイスでも国の基準がある。チューリッヒ州などの州のエネルギー官が「国の基準は甘いと自主基準を作り、今は国も認めるようになった。日本の基準とスイスは雲泥の差」と長土居さんは言う。スイスではエコハウス、ミネルギー(ミニマムエネルギー)ハウス、ミネルギープラスハウス、ゼロエネハウスとQ値が低くなる順に区分。省エネ住宅とは1W/(u・K)を切るものを指すのが常識になっている。
長土居さんはシャフハウゼン州とツールガウ州担当のエネルギー官に取材。シャフハウゼン州は冬は氷点下18度になる岩手と似た気候の地域。見学したミネルギーハウスは地熱ヒートポンプ(省エネだけでなく再生可能エネルギーを積極的に使わなければならない)を設置し、年間光熱費は5万円程度。建築費は5%ぐらい高くなるが、日本の一般住宅に比べ3分の1から4分の1で済む。
長土居さんの家は年間16万円ほど。17年前に購入したが、Q値は1W/(u・K)と、次世代省エネ住宅の基準よりも高水準。長土居さんの家が技術を実証している。
長土居さんはスイスでミネルギーやゼロエネルギーの住宅を見学した。「石の文化の国なのに木造で建てている。木の文化の日本にできないはずはない」と話す。
「技術的に1以下にするのは可能なのに、今の日本には国の基準一つしかない。そのことで基準さえ守れば良いというように世の中が動いていると思う。環境などに意識が高くお金を出してもいいような人が情報を知っていたら国の基準でいいということにはならない。最低基準として国の基準は必要だが、県内でもそれ以上の自主基準を作っていけたら。高いハードルを望む潜在層をみすみす逃している」と説く。
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