2005年 4月 17日 (日)        

■ こんなときこそ研究者の交流を 反日デモについて堀江岩大教授に聞く

 岩手大学と中国遼寧省大連市の大連理工大学は5月23日、大学間交流協定を締結する。中国の反日デモの影響が懸念されたが、県の大連事務所設置とともに予定通り行われる。両大学の橋渡しをした岩手大学工学部の堀江皓教授に日中交流の展望を聞いた。堀江教授は今回の反日デモを中国国内の矛盾の噴出と見ており、「こうしたときこそ研究者や学生の交流をやらねば」と強調する。経済成長に伴い語られるバラ色の中国像には懐疑的で、地道な技術移転により両国のためになる協力の必要を説いている。

 堀江教授は工学部材料物性工学科で高強度の鋳鉄などを研究しており、1991年には大連理工大学の客員教授となって中国の工業技術の発展に協力してきた。日中学術交流のUURRプロジェクトのチームリーダーとして中国の学界と深い関係を持ち、岩大と大連理工大学の交流協定の締結にこぎつけた。

  大連の親日的な土地柄から反日デモの影響は少ないと見ているが、「あのようなことをしても何も得はない。日中貿易は既に大変な額に達しており、お互いに長年築き上げてきた利益をあのようなことで壊してはならないということに気づくはずだ」と中国側の理性を信頼している。

  大連では日中の歴史問題についても思うところがあった。「二〇三高地が有名だが、日露戦争は日本とロシアが中国で勝手に起こした戦争で、中国が快く思っているわけはない。しかし大連には旧満州時代に日本が残した資産や文化が残っている。日本語を話す人も多く南の方よりは親日的だ。今の中国は東北3省の再開発の必要に迫られているので、大連から協力できる」と話し、未来志向で交流している。

  半面、近年の経済成長から手放しで「昇り龍」の国と見る向きには疑問符を付ける。「政治体制が一党独裁で国民の不満が大きくなっている。北京五輪、上海万博のあとは目標を見失い、バブルがはじけると心配されている」と懸念。工学博士の立場から「中国は自動車をまだ完全に自国で造れない。乗用車はドイツと日本の技術を取り入れて作っているだけで、特にドイツの影響が大きい。長春の工場で国産車の『紅旗』を生産していても中味は『アウディ』で、自前の自動車を生産できずコピーしているだけ。南部鉄器でもそうだ」と話し、日本の鋳鉄技術を正しく伝えるよう努力している。

  「だから中国ももっと技術を持たなければ。科学技術と文化の交流を進めなければならない」と話し、現場に根付いた地道な日中交流が難しい関係を打開すると信じている。大連理工大学とは本県の75のシーズの技術提携を行い、成果を地域に還元して両国の産学連携ができるよう期待している。

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