2005年 5月 4日 (水)        

■ 〈循環すると生活が楽しい〉下 100%町産材の家づくり

     
  みやぎ版住宅川崎型第1号の原田邸。モデル住宅として普及にも活用する  
  みやぎ版住宅川崎型第1号の原田邸。モデル住宅として普及にも活用する
 
  仙台市などの水がめとなっている釜房ダムの湖畔。春の訪れが遅くまだ広葉樹の葉が付かない木々の間に、原田有造さんの新居が見えた。車を降りて家に近づいていくと木材の香りが強くなる。今春落成したばかりのせいもあるだろう。外観はロッジやバンガローに通じるが、日本の伝統、しかも地元川崎町の技術で造られ、木の家という実感がわいてきた。建築士の原田さんは川崎町の資源をいかす会の中心メンバーの一人。川崎産の木で健康な家づくりグループの長で、自宅を「みやぎ版住宅川崎型」のモデル住宅として新築した。

  宮城県は03年度、みやぎ版住宅制度を創設。在来木造軸組工法の新築住宅を対象に県産木材20%以上の使用などを基準とする。

  原田さんは県の基準は緩いとし、川崎型は100%町産材を無垢(むく)で使用し町内業者が施工する健康な家と定義付けた。自然素材へのこだわりを加え「産直無農薬型」と形容。原田邸は川崎型モデル住宅第1号として、その要素が分かるよう建てられた。普及できる価格で性能も高く、住み手と環境に優しい家を目指す。

  特徴の第1は町産材を可能な限り無垢で使ったこと。原木の歩留まりにも注目し、全部使い切るようにした。端材も工夫して使い、どうしても余った材は化学物質の心配もなく室内のまきストーブなどの燃料に使用。のこくずも利用される。

  使用木材の乾燥は高温で急激に乾燥させる人工乾燥を避ける。山で葉枯らし、製材所で原木枯らし、時間のかかる手加工の間の製品枯らしに上棟後の現場枯らしと、ゆっくり天然乾燥させた。落成後、梁(はり)や柱にひびは入る。原田さんは「施主に天然乾燥の無垢を使えば割れることを理解してもらう」と話し、かつては当たり前のことを見せていく。

  吹き抜けの居間は、ほとんど板壁で床も板張り。天井板はなく構造材がむき出しになっている。大工が用材の中から節の少ない板を選別しているが、寝室など客の目に触れない空間に節だらけの板材を使用。構造に問題がなければ、節の多い材で価格を抑えることが可能。「無節信仰は資源の無駄遣い」と原田さんは言う。

  ユニークなのは、かんな掛けを安全性など必要最小限の部分に抑え、加工賃を抑えたこと。大工の賃金単価を抑えるのではなく、工程を差し引くことで建築費を抑えるという発想だ。外装も内装も木部は無塗装。和室などの土壁は町内の土と無農薬栽培の田から出た稲わらで作った。

  快適性では基礎断熱したコンクリートのべた基礎工法を採用。床板に開口を設けて室内と床下の空気を一体化させ、動力によらない自然な暖気の流れをつくった。床下には約2トンの炭を入れ、シロアリ忌避や調湿の効果を見ていく。

  プロジェクトの役割は▽健全な森を次世代に引き継ぐための育林資金を森林に▽消費者に命あふれる健康な家を▽伝統的な建設職人に技術継承の機会を−と整理できる。原田さんは「1企業・事務所が先導的にやっているのではなく、もともとある町の建設業全般の人が連携を深め林業関係者も一緒になってやろうというのが特徴」と説明する。

  かかわった大工の一人志賀昭夫さんは「施工を楽しんだ。頼まれたらまたやりたい」と感じている。原田さんは「形として目に見えるだけで川崎型となるのではない。地元の木など町内全体を使っていくという作り方と精神が川崎型となっていけば」と話す。
(おわり)

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