2005年 5月 4日 (水)        

■ 〈いわて近代洋画100年展〉中 もりおか啄木・賢治青春館

     
  松本竣介の「夕方」(油彩、画布、1939年)  
 
松本竣介の「夕方」(油彩、画布、1939年)
 
  いわて近代洋画100年展(同実行委員会など主催)の「躍動と戦争(昭和前期)」が、盛岡市中ノ橋通1丁目のもりおか啄木・賢治青春館で開かれている。同会場では1926年(昭和元年)から戦後の45年ごろまでの期間に活躍した作家20人の作品38点が展示されている。(文中、敬称略)

  松本竣介の「夕方」(油彩、画布、1939年)は、街の建物と家路を急ぐ人たちの様子を描いた作品。この時期、集中的に制作していた「街」シリーズは青が主体だったが、本作品は茶系の色調で、夕焼けに彩られる街の風景を印象的に描き出している。

  高橋忠彌の「人間復活」(油彩、画布、44年)は、162・1×97センチの縦長の画面に、十字架に架けられたキリストの姿と、動物や花などたくさんのモチーフを盛り込んだ作品。落ち着いた色合いの中に描き出されるモチーフは明るい生命感にあふれ、暗い時代の中でも希望を見失わずに生きようとした姿勢が感じられる。

     
  高橋忠彌の「人間復活」(油彩、画布、1944年)  
 
高橋忠彌の「人間復活」(油彩、画布、1944年)
 
  会場内に隣り合わせに展示されたのは、松本竣介と澤田哲郎が41年に描いた高橋忠彌の肖像画。岩手という同じ古里で結ばれた3人の友情と、作家としてのお互いへの尊敬の念が伝わってくる。

  木版画で知られる舞田文雄の作品は、24年の第7回岩手芸術品展に出品された「果實之図」のほか、油彩の「自画像」(画布、制作年不詳)や「少年と馬」(板、制作年不詳)なども展示。そのほか、深澤紅子や白石隆一、奈知安太郎などの作品も出展されている。

  大正期に見られたデモクラティックな風潮は、昭和に入って間もなく暗転。時代が戦争に向かう中、美術界にも国による団体統制や戦争翼賛のための作品制作要請が及んだ。

  この時期に活躍した県の美術団体は4つ。大正期から昭和の初めに県の洋画壇をリードした「七光社」、県内の若手洋画家による「素顔社」、東京在住の県出身者を中心とした「北斗会」がそれぞれ積極的に活動した。戦時色が濃くなってきた41年、国民生活統制の一つとして、その3つの団体が「岩手美術連盟」として統合された。

  今展では、激動の時代にほんろうされながらも、希望を捨てずに前向きに生きた画家たちの姿を見つめ直している。

  同展は1868年(明治元年)から1970年(昭和45年)までの約100年間を3期に分けて、同館のほか県内2カ所を会場に、県ゆかりの作家の作品を紹介するもの。

  7月3日まで。午前10時から午後6時まで。毎月第2火曜日は休館。入館料は高校生以上は500円、中学生以下は無料。第1期「受容から個性へ(明治・大正)」は東和町の萬鉄五郎記念美術館で、第3期「再出発と興隆(昭和後期)」は岩手町の石神の丘美術館で開催中。3館共通券は千円。

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