2005年 5月 5日 (木) 

       

■ 〈いわて近代洋画100年展〉下 石神の丘美術館

     
  橋本正の「作品」(和紙、ガーゼ、ベニヤ、1960年から70年ごろ)  
  橋本正の「作品」(和紙、ガーゼ、ベニヤ、1960年から70年ごろ)  
 

いわて近代洋画100年展(同実行委員会などが主催)の「再出発と興隆(昭和後期)」が、岩手町の石神の丘美術館で開かれている。同会場では戦後の1945年から70年代までの期間に活躍した作家40人の作品60点を展示している。(文中、敬称略)

  澤田哲郎の「peace」(油彩、画布、1949年)は、盛岡市内の個人の所蔵品の中から新発見されたもの。時代を色濃く反映した暗い色調の作品が多い澤田の作品の中で、白馬に乗った2人の少女が明るい色合いで描き出されている本作品は目を引く。シベリア抑留から復員して間もないころの作品だけに、幼い子供たちのために平和な未来を願う作家の思いが感じられる。

  齋藤忠誠が多摩造形専門学校時代に制作した「顔A」(油彩、画布、50年)は、面で分割したキュビスム風に描いた作品。写実から抽象までさまざまな表現を試みた時期の一面がうかがえる。

  橋本正の「作品」(和紙、ガーゼ、ベニヤ、60年から70年ごろ)は、画面全体に規則的にガーゼを張り付けたもの。人間が日常的に使い捨てている物を丁寧に張り付けて提示した作品からは、大量生産、大量消費という時代と作家との間にある距離感を意識させる。

  時代が戦争に巻き込まれていく41年、戦時統制のために県内の美術団体「七光社」「素顔社」「北斗会」の3団体が統合されて「岩手美術連盟」が発足。同団体はそのまま戦争協力へと走ったが、戦後の美術の高等教育の契機にもなった。


  47年、同連盟は岩手美術研究所を開設。その後、県立美術工芸学校、県立盛岡短大美術工芸科、岩手大学特設美術科へと発展していく。

  この時期、数多くの美術団体も結成された。同展では、岩手美術研究所のほか、57年に齋藤忠誠を中心に岩手町で誕生した「エコール・ド・エヌ」、63年に前衛美術、反芸術を掲げて発足した「集団N39」の3つの流れに分けて作品を展示している。

     
  澤田哲郎の「peace」(油彩、画布、1949年)  
 
澤田哲郎の「peace」(油彩、画布、1949年)
 


  同展は1868年(明治元年)から1970年(昭和45年)までの約100年間を3期に分けて、同館のほか県内2カ所を会場に、県ゆかりの作家の作品を紹介するもの。

  7月3日まで。午前9時から午後5時まで。会期中は無休。入館料は高校生以上は500円、中学生以下は無料。第1期「受容から個性へ(明治・大正)」は東和町の萬鉄五郎記念美術館で、第2期「躍動と戦争(昭和前期)」は盛岡市のもりおか啄木・賢治青春館で開催中。3館共通券は千円。


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