2005年 5月 5日 (木) 

       

■ 〈お父さん絵本です〉56 岩橋淳 でんしゃえほん

 絵本の楽しさは、想像すること。目の前の場面からそのままの情報を受け取って終わり、ではないんです。自分の中の経験やイメージと化学反応させるから、受け手によって面白さもさまざま。「年端もいかず経験の少ないこどもじゃあムリなんじゃないの?」と、思います? いいえ。環境によって個人差はあるかもしれませんが、きちんと心得た作り手による作品にさえ巡り会えば、ヘタな固定観念や常識に縛られず自由な発想ができるだけ、むしろこどもはおとなよりも絵本を楽しむチャンスをより多く持っているんです。

  本作も「ふーん。で?」となってしまうかもしれません。モシモこんな電車があったら、という、アリエネー場面の連続です。車輪が靴を履いた足だったり、一人乗り専用車やラーメン電車、先頭とおしりがつながったぐるぐる巻き。実用面でしか考えないオトナにとっては意味をなさないものばかり。でも、だから面白い。開いたページを前にしたこどもは、すなおに驚いたり、目を輝かせて喜んだり。秒刻みの輸送力なんてものとは無縁の世界が確かに存在し、われわれオトナもかつてはその国の住人だったりするんですよね。

  【今週の絵本】『でんしゃえほん』井上洋介/作、ビリケン出版/刊、1680円(税込み)4歳〜(2000年)

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