2005年 5月 8日 (日) 

       

■ 〈美術〉わすれな草と春の野の花展

     
  1952年作の「そよかぜ」  
 
1952年作の「そよかぜ」
 
  盛岡市紺屋町の深沢紅子野の花美術館(重石晃子館長)では6月16日まで、「わすれな草と春の野の花展」が開かれている。4〜6月ごろに咲く野の花の水彩画、油彩の人物画のほか、今回は装丁・挿画を手がけた児童書や絵本も展示紹介している。

  油彩画では「そよかぜ」という1952年の作品はほとんど公開されたことがない。一水会の常任委員に就いた年のもの。緑が濃くなり夏本番に近づくころの季節と思われ、モデルの女性が日陰で休む。

  紅子は画家生活の後半、油彩画でも薄い塗りで明るいトーンの色で仕上げる作品が印象深いが、今作は全体に明るさを抑制した色調。草木を描いたと思われる背景も常緑樹の葉のように深い色。当時流行したノースリーブのワンピースから出た腕や首回りも日焼けしたよう。単調に絵の具を落としているように見えて、動きが浮かび上がってくる紅子の筆致が表れている。

  美術館前の中津川河原に植えられたワスレナグサも5月中旬以降、見ごろになるとみられる。90年の「わすれな草」という作品は白いブラウスのモデルが青い花びらのわすれな草を束で手に持ち、背景はブロック分けされたような中に色を分けて彩色し、軽やかな雰囲気を出している。

  装丁・挿画の作品は約200点を盛岡市が所蔵。その一部が展示されている。生誕100周年を迎えた巽聖歌の児童書「ムラニハムラニ」では挿画、童謡集「雪と驢馬(ろば)」では装丁と挿画を担当した。村岡花子著の童話集「四季のおくりもの」は装丁・挿画を担当。表紙は赤い地に短いワンピースの少女、紙風船、チョウやトンボが描かれている。展示で紹介しているのは春の巻の「おかあさんありがとう」。少女が母親を肩たたきする挿し絵が見られる。

  このほか、写しを用意して手にとって読める作品も。紅子が何回も一緒に仕事した作家のもので、石井桃子の「やまのこどもたち」、坪田譲治の「ねずみのかくれんぼ」などがある。

  水彩の野の花は、ワスレナグサやタンポポ、ツユクサ、オダマキ、ハナミズキ、サクラソウなどの作品が並んでいる。

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