■ サンゴの島の辞書づくり 遠藤さんがニウエ語に取り組む
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南太平洋の小さな島・ニウエ語の日本語訳を続けてきた遠藤澄さん。今月には2度目のニウエに旅立ち、辞書完成を目指す
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ニュージーランドから北東に2300キロ離れた南太平洋にニュージーランド自治領・ニウエ島が浮かぶ。東西約10キロ、南北約20キロの小さな島の面積は約260平方キロと盛岡市(約490平方キロ)のおよそ半分の大きさ。サンゴ礁の隆起でできた島だ。島民約2千人が暮らす。この島の言葉であるニウエ語の日本語辞書を作り続けている人が盛岡にいる。同市東松園の元教員・遠藤澄(ますみ)さん(75)。自作辞書づくりを始めて9年になった。これまでに3回の改訂を経て約600ページにもなったが「まだまだ誤訳が目立つ」と、その意気込みは衰えない。
遠藤さんは19日に辞書を携えてニウエに向かい、第4版に取り組む予定。辞書の完成は、日本と南太平洋の小さな島をつなぐ「言葉の懸け橋」となるはずだ。
遠藤さんは92年秋、ニウエの留学生のホームステイを受け入れ、初めてニウエを知った。ホームステイで受け入れた留学生を頼りに93年2月、初めてニウエを訪れた。そこでは、自然豊かで人情味あふれるニウエの生活に触れながら「ニウエ語が滅びつつある」という大問題を島民から聞かされたという。
ニウエでは、小学校低学年までがニウエ語、それから英語を習うというバイリンガル教育が学校教育に取り入れられているため、島民の多くはバイリンガルだ。しかし、島には高等教育機関がないため、義務教育を終えた若者のほとんどが島を出てしまい、ただでさえ少ない人口が減り、それに伴いニウエ語を話す人も減少傾向にあるという。
遠藤さんは、帰国直前に訪ねた図書館司書のシャロン・ルイさんから1冊の辞書をもらった。ニウエ語を英訳する辞書で、裏表紙に「Hope this helps you,with your research」(この辞書が、あなたの調査の助けになりますように)との言葉を贈ってもらった。
帰国後、ニウエ滞在時に知り合ったシェリー・モーリスタファツさんと手紙のやりとりをしながら96年5月、シャロンさんからもらった辞書の日本語訳を始めた。
辞書作成のため、パソコンを購入。毎朝の日課にして翻訳作業をコツコツと続けた。辞書作成を始めて約1年半後の97年の10月末、パソコンを駆使した初版が完成。改訂を続け、3版ではニウエ語、日本語に加えて英語、ローマ字を並べた。
「辞書だけを見て、見知らぬ文化の言葉を翻訳するのは難しい。英語を掲載したのは、辞書を見た人が誤訳を指摘しやすいと考えたから。ニウエに行ったら英訳の確認をお願いし、辞書を完成させたい」と遠藤さん。
だが、初めてのニウエ訪問から12年が過ぎ、今回のニウエ訪問には体力的な不安もある。ニウエまでの道のりは、日付変更線をまたぐうえ、不定期な離島便のためにフライト時間が真夜中におよぶこともあるからだ。
「以前はフィジー経由でニウエに向かったが、フィジーは日本の昭和初期のようだった。この12年でどう変わっているのかを見てみたいし、知人との再会も楽しみ。ニウエは、何もないけれど、Nothing but Something(何かがある)島だ。12年前に聞くことができなかった質問を島民にぶつけ、よりよい辞書を作りたい」と2度目のニウエ訪問に意欲を燃やしている。
帰国は6月10日を予定。辞書は、改訂を加えた後、公的機関へ寄贈し、ニウエとの親善に役立ててもらう考えだ。
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