2005年 5月 10日 (火) 

       

■ 地産地消の賃貸住宅を 三田農林が自社山林伐採し建設

     
  三田農林の社有林でスギを伐採する林業技術者  
 
三田農林の社有林でスギを伐採する林業技術者
 
 

三田農林(本社・盛岡市中央通1丁目、三田義三社長)は自社山林から切り出した木材を使った賃貸住宅の建築事業を初めて試みている。市内の所有林から伐採した丸太を市内で製材し、地域の建築業者が市内に建築するという地産地消の取り組み。現状の国産材が抱える課題の一つに流通があるとの観点などから着手した。山主から消費者までの過程に携わることで、これからの日本林業の在り方を考えたいとしている。事業は木の伐採が始まった段階。地産地消の家づくりと森林環境の健全化を提唱し活動するイーハトーヴの森と家づくりフォーラム(代表・山本信次岩手大学農学部助教授)の05年度第1回勉強会では、森林編として事業の材料を出す山林で立木の伐倒作業を見学した。


 同社の自社山林の材による賃貸住宅の建築は、市内と滝沢村の3社に住宅設計と建築を委託。それぞれのプランで加賀野に1棟ずつ建築する。使う材は浅岸字上大葛の約0・8ヘクタールの山林1カ所から供出。89年生のスギ、カラマツで、大半がスギ。関連会社の岩手林業所有林から切り出したクリ、アカマツも一部に使用する。建築業者には予算内で自社の木をむくで使うことを条件に出した。

  対象地は全伐され270立方メートルのスギ、カラマツが出される。住宅1棟に30立方メートルを使用する計算で適応材を選別するため3倍を見積もり、余剰材は別用途に活用していく考えだ。伐採から製材までは盛岡市森林組合に委託。天然乾燥しながら10月ごろまでかけて製材する。住宅は10月に着工、来年3月に完成の予定だ。

  事業は三田林太郎取締役と山林部が中心となって進めている。三田取締役は「立っている木の値段が安くなっているが、運搬や製材などの部門は同じか高くなっているため山側にしわ寄せがきている。山側の問題だけが言われがちだが木にかかわっている全体の問題ではないだろうか。流通への問題意識が事業の理由の一つ」と説明する。

  三田取締役は「今は捨てられているものを使っていくことで、仕事のやり方が変わっていくと思う」と話す。市場を通す一般的なシステムとは異なり、現状では商品から弾き出されるか極端な低価格でしか取り引きされない低質材も有効利用できることなどの効果を期待できる。不動産も業務にしており、有効活用を目指すことになった。集合住宅は近年も建築しているが、一軒家の貸家建築は戦後で初。自社材使用の貸家も初めてという。

  事業は三田取締役の中で5年ほど前から考えられていた。事前の市場調査で不動産業者からは「やめた方がいい」と言われた中での挑戦。林業の立場から丸太生産するだけになりがちなこれまでから一連の流れにかかわることで製品になるまでを意識した感覚に転換すること、低質材有効利用の道を探ることに加え、住宅材料として地元材をアピールしていくためだ。

  担当する山林部の一人藤井貴史さんは現段階で「設計者が使用したい材と山主、製材業者が供給できる材に意識の差がある。設計者からはさまざまな要望が出るが、一定の山林から供給できる材には限界があり、山からどのような材を出せるのかをはっきりさせてから設計を依頼するのが良い。山主、製材業者、設計者が歩み寄りよく話し合って進めることが大切」と課題を挙げている。





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