作者は、かつて知る人ぞ知る雑誌「ガロ」を舞台に活躍(60〜70年代)したもともとはマンガ家。当時からポップでシュールな作品を発表していた氏(村上春樹作品のカバー画でご存じの方も?)ですが、近年の絵本作家としての活躍も見逃すわけにはいきません。
本作では、氏の一連の作品の中でも登場頻度の高いオオカミが主人公。童話におけるオオカミの役回りはコワモテ、ハラペコ、そしてどこかヌケているのがお約束ですが、今回は不幸にもコワモテの代わりに鈍足というハンディまで背負わされて、目の前のごちそう・ブタにも逃げられるばかりかバカにされ、切歯扼腕(やくわん)の毎日。
種の威厳をかけてなんとか一矢報いたいというオオカミに相談を持ちかけられたキツネの博士が手渡したのは、当初の希望「足の速くなる薬」ではなく、新発明「ブタのたね」。種をまいて薬をかければ、にょきにょき伸びた枝々に、たわわに実るブタ、ブタ、ブタ。ちょ、ちょっと待って、そんなうまい話があるの? …このあと繰り広げられる、読者をもアゼンとさせるドタバタと、懲りないオオカミのおとぼけ加減がおもしろおかしい怪作です。
【今週の絵本】『ぶたのたね』佐々木マキ/作、絵本館/刊、1260円(税込み)3歳〜(1989年)
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