2005年 5月 15日 (日) 

       

■ 〈盛岡百景〉20 石割桜 火災も乗り越えて

     
  毎年、盛岡市内の桜では最初期にほころぶ石割桜  
 
毎年、盛岡市内の桜では最初期にほころぶ石割桜
 
  盛岡市内丸の盛岡地方裁判所前庭の石割桜は岩手で最も有名な桜で間違いないだろう。国天然記念物に1923年、指定されたエドヒガンザクラ。樹齢は推定約350年と言われることが多い。ここには藩政時代、南部家の分家、北氏の屋敷があり、1876年、仙台裁判所盛岡支庁が置かれた。岩は長径7・5メートル、短径3・65メートル、高さ1・75メートルの花こう岩。一帯は花こう岩堆積地とみられ自然石というのが有力だ。木は岩上の根元周囲4・3メートル、樹高10・8メートル。

  石割桜は割れ目に生えてきたと考えられている。割れ目は22年時に表側上部13・0センチ、下部で9・0センチだったのが、87年にはそれぞれ18・6センチ、14・32センチに。調査ごとに少しずつ開き、桜の生命力を感じさせる。

  石割桜を語るとき、欠かせないのが造園士の故藤村益治郎さん。石割桜の桜守り、益治郎さん最大の逸話は1932年9月2日夜に起きた裁判所の火災時のことになろう。知らせに駆けつけた益治郎さんが目にしたのは、石割桜に向かってくる火の粉をまといで払う父。火の粉払いに加わった。鎮火したが石割桜の被害は免れず、回復を信じ父と面倒をみた。翌春、新芽を確認し、生涯面倒をみると誓った。今は跡継ぎが世話をしている。

  34年完成の裁判所新庁舎は桜に配慮し、以前より後退させた。現庁舎建築の折も、地上5階地下1階の当初計画が地下水への影響を考えて地上6階に変更され、建設位置も旧庁舎より約5メートル後退。工事も木の生態に配慮した。現在、職員が除草や施肥など日常の世話をし、構内の庭木と一緒に造園業者に冬囲いなどの作業を委託している。(井上忠晴記者)

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