2005年 5月 15日 (日) 

       

■ 〈胡堂の父からの手紙〉7 八重嶋勲 山口剛介に近づき書を習え

 8、巻紙 明治32年10月2日付

  宛 不明
  発 不明
前略 本月分授業料其他小遣銭トシテ金
壱円封入差金致候
毎度なから学業目的ヲ達セントナラバ努メテ高等之学問ニ専修勉励ノ可致無益消費等ハ決シテセザル様心掛ヘシ当郡ヨリハ縣會議員山本喜兵衛細田文平弐人ナリ両人共吾党□□為ス(シ)得ル限リハ演説モスルヘク起企モスルヘク乍然厘毫モ不品行等ノ断以無之様致候
前陳ノ如ク俳句ノ如キモノニ無益の脳隨ヲ不費漢文英学等ニ最モ注意シ勤勉可致十八史略ノ如クモ何程位ニ謹タルヤ序ニ
一報可致候以上高等学門ニ注意シ豫テ希望ノ学業ヲ遂ケ得ル様今ヨリ充分準備可致候
本月十日頃ニハ出縣スルノ序デ可有之ニ付其際種ゝ相談スル義可有之候
山口剛(山口剛介)ヘ近付キ筆法ヲ修行スル様ニ可致候、余者面會ト申残ス
  十月二日       野村長四郎
   野村長一殿
 
  【解説】「前略、本月分授業料その他小遣銭として1円同封した。毎度のことだが学業の目的を達しようとするならば、努めて高等な学問に専念し勉強に励むこと。また、決して無駄遣いをしないこと。紫波郡から県会議員は、山本喜兵衛と細田文平の二人。両人とも吾が党なので出来るだけ応援し、演説もするべく考えているが、しかし少しも不品行がないよう心がけている。前に述べたが俳句のようなものに無駄な頭脳を使わず、漢文や英語などにもっとも注意して勉強すること。十八史略はどのくらい進んだか後で知らせよ。とにかく高等学問に留意し希望の学業を遂げるよう今より充分準備するように。10月10日頃県庁に出かけるので、そのときいろいろ相談することがある。山口剛介に行き書道の勉強をするように。後は面会したときに申し残す。」と言う内容。

  一に、上級学校進学を目指して漢文や英語など高等学問に留意し勉学に励む。そのためには俳句などにうつつを抜かさないようにせよ。二に、無駄遣いせぬように。三に、山口剛介(盛岡の書家)について書道の勉強をし上等な字を書けるようにせよ。

  期待の息子を思う父の心がありありと表われている。

  父の心配をよそに、長一は、このころから原抱琴の影響を受け、俳句を始め菫村・菫舟と号して原抱琴や岩動露子らと杜陵吟社を結成。10月「ホトトギス」に投稿句が掲載されるなど俳句にのめり込んでいったのであった。

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