「滝沢村助役にご就任いただけないでしょうか」という嘘のようなメールが届いたのは平成15年4月上旬のことでした。「エイプリルフール?」と壁のカレンダーを見て、4月1日は過ぎてる…と思ったのを覚えています。冗談が好きそうな課長や村長の顔を思い出しながら、「なんちゃって」という取り消しのメールがすぐに入るのではないかと、パソコンの画面をしばし眺めていました。
どうやら本気らしい。でも、夫は東京出張中。早速携帯にメールを送りました。「こんなメールが来ました」。「え?」、返事はこれだけ。開いた口がふさがらない夫の表情が目に浮かびます。
夫は福島市の生まれです。福島といえば宮城と並んで、つい先ごろまで高校は男女別学という、いわゆる古式ゆかしい県民性(関係者の方ごめんなさい)。夫の生家も、男子厨房に入るべからず…式の古典的な家柄です。
通勤が無理な距離、ということは、単身赴任を余儀なくされるということで、20数年の結婚生活の観察結果から、賛成が得られるとは到底考えられず、どうやってお断りしようかと、そればかりを考えて、考え疲れてその晩はぐっすりと眠りました。
というのも、宮古市も男女共同参画基本計画などを作り、表向き、夫は女性の社会参画に積極的に理解を示していたからです。頭と心の不一致というのは悩ましい問題ですが、とにかく宮古市長の名誉を守りつつ、上手に断らなければならないのですから。
ところが、翌夕、帰ってきた夫は開口一番、「挑戦してみたら」。これには就任要請のメール以上にびっくりしてしまいました。どうしちゃったんだろう、熱でもあるのかしらん、でも…とにかく夫の気が変わらないうちに、手を打たなければなりません。何しろこんな事、私の人生に2度とはないはずですから。早速O教授に電話して面会の予約を入れました。(滝沢村前助役)
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