2005年 5月 17日 (火) 

       

■ 〈英語ってどうなってんの?〉14 成田浩 「Colasでいいの?」


  以前聞いた話です。ある高校生が海外研修でアメリカに行っていた時、スーパーマーケットでコーラを2缶買おうとして、Two cans of cola,
  please.と言ったら、店員がOh,two colas.と言いながら渡してくれた、というのです。

  今は自販機の時代ですからこんなことも起こらないでしょうが、少年が驚いたのはcola, milk, teaなどは量としてとらえられるもの、つまり物質名詞だから、a cup ofとかtwo cans ofとかmany bottles ofとかをつけなければならないと、英文法の授業で習ったのに、それと違うことだったのです。その少年は帰国してそのことを先生に聞きただしたそうです。

  学校で習った言い方は正しいし、その少年は日英語の違いの大事な点を覚えていて、英語国でもそれを使えたからうれしかったでしょう。それなのに、colasとは。

  たしかにcolaやmilkやteaなどは液体で、個体としての輪郭もなく、こぼせば限りなく流れていきます。でも、これを缶や瓶やパックで仕切れば1個2個と数える対象に変わるのです。ここでも個体認識と量認識の切り替えが見られます。

  心の状態でさえもそのような対象になります。kindnessは親切さのことですが、たくさんの具体的な数々の親切な行為を指して言うときにはkindnessesのように複数形になることがあるのです。

  情緒や感情を表すemotionも喜び、悲しみ、怒りなど、いくつかの感情の具体的な情動の表れに言及するとemotionsとなります。大きめの英和辞典か英英辞典をみるとそのことが分かります。英文法の教科書や受験参考書で「抽象名詞や物質名詞の普通名詞化」なんて言われても、単数形や複数形の心はわからないのではないでしょうか。(言語人文学会会長)




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