2005年 6月 6日 (月) 

       

■ ニューヨークで音楽修行の黒澤さん 古里で初のリサイタル

     
  黒澤有美さん  
 
黒澤有美さん
 
  盛岡市出身の箏奏者、黒澤有美さんのコンサートが17日、同市盛岡駅西通の市民文化ホール小ホールで開かれる。本格的なリサイタルは今回が初めて。二十絃箏の可能性を求めて、ニューヨークに居を移して3年が経過。民族、文化のるつぼで積んださまざまな経験を基に、自身が作曲した曲も盛り込みながら、古里盛岡から新たなステージへのスタートを切る。

 二十絃箏は1969年に開発された新しい楽器。従来の十三絃箏を、現代的な音階にも対応できるように改良したもの。箏奏者の両親の下、3歳から十三絃箏を弾き始めた黒澤さん。母親が弾いていた二十絃箏の音色に、十三絃箏よりも「華やぎ」を感じたという。15歳ごろから東京の師匠に師事し、月に1度のレッスンで技術を磨いた。

  東京の大学を卒業して演奏活動に専念する生活に入ったが、音楽的にどういう表現をしていこうかと迷う日々が続いた。演奏家として将来、自分の進む方向について真剣に考えたとき「二十絃箏という楽器が、音楽的にどの辺まで広がりを持って表現できるのかを探ってみたい」という以前からの思いが募った。

  ニューヨークは学生時代からのあこがれの場所。「人種も文化もごちゃまぜ。何でもあふれかえっている」という街で「20代のうちに吸収できるものを吸収したい。何かを見出したい。芸術を追求したい」と決断した。

  出発したのは2002年の2月、26歳のとき。住む場所も決めずに、二十絃箏と1週間分の服だけを持って渡米。知り合いもいない街で、生活環境を整え、人脈をつくるところから始めた。オーディションを受け、関係者に直接連絡を取ったりと積極的に動き、ダンスやジャズとのコラボレーションなど、さまざまな活動を通して徐々に自信をつけていった。

  作曲を始めたのは渡米してから。ニューヨークでの演奏は、観客の反応が「ぐいぐい来る」という。終わった後はどんどん質問や感想が寄せられる。楽器を珍しがる反応が多い中、一人の観客から「箏がこういう音を出すのは分かった。それで、あなた自身の曲は?」と聞かれた。それから少しずつ、自分を表現するための作曲をするようになった。

  「行(あん)〜二十絃箏と津軽三味線のための」は、今回のコンサートで津軽三味線奏者の黒澤博幸さんと共演するために書き下ろした曲。ニューヨークのバスの窓から見た目まぐるしく変わる光景に、多民族、多文化の混在を実感。自身の中に芽生え始めた「妙な和洋折衷の心情」を表現した。

  リサイタルは「自分にとってものすごく大きな意味がある」と話す黒澤さん。演奏する曲目には、その人のスタイルや考え方などのすべての要素が含まれると思うから。急がずにゆっくりと自分の音楽を模索する時期だった3年間を経て、これからは「いろいろ形にしようかな」と言う。コンサートでは「今の段階の黒澤有美を見てほしい」と思っている。

  午後6時半開場、同7時開演。入場料は2500円(当日は3千円)。全席自由。問い合わせは黒澤楽器店(電話番号は019−651−6390)まで。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします