2005年 6月 7日 (火) 

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉132 八木淳一郎 はくちょう座の星々

 七夕でも親しまれているはくちょう座は、夏の代表的な星座の一つで、今ごろですと午後8時前後に東の空に上ってきます。南十字星に対して北十字の別名があるはくちょう座は、一度見たら忘れることのできない、いかにも白鳥が大きく羽を広げた形をした雄大な姿の星座です。

  日に日に少しずつ早く上ってくるようになり、七夕のころ、あるいは旧暦の七夕のころにはもっと見やすい時刻に天頂付近にあって、天の川のまっただ中で光り輝いています。やがて季節が巡り、ちょうどクリスマスのころ、西の山並みのシルエットに大きな十字架がそびえ立つようにして沈んでいく姿は感動的ですらあります。

  はくちょう座の主星は一等星のデネブです。同じ七夕の星である織り姫星(こと座のベガ)は25光年、彦星であるわし座のアルタイルは16光年という近い距離にある星ですが、デネブはなんと1800光年というずいぶん遠い所にある星です。

  白鳥のくちばしに当たる星はアルビレオの名前があり、望遠鏡で見ると黄色と青色の星が二つ寄り添うようにして輝く「二重星」で、天上のロミオとジュリエットのニックネームがあります。賢治は「銀河鉄道の夜」の中で宝石のサファイアとパーズに例えています。

  ところで、白鳥の胸の位置にあるサディルという星とアルビレオのほぼ中間にギリシャ文字のχ(カイ)という記号の星があります。

  この星は408日の周期で明るさが3等星から14等星まで変わる星として知られています。その星が今月の24日に最も明るくなると予想されています。くじら座のミラという星に代表されるミラ型変光星と呼ばれるもので、明るさの変わる原因は脈動星といって星が膨らんだり縮んだりするためと考えられています。

  デネブとサディル、それに東側の羽に当たるギエナーという星とでつくる平行四辺形に位置するところに61番星というのがあります。この星は5等星と少し暗めですが、あまたの星の中で人類史上初めて距離が測られた記念すべき星です。今から170年前のことです。ドイツの天文学者ベッセルが54歳の時に成し遂げたのでした。61番星はわたしたちから11光年の距離にあります。

  夏の星座であるはくちょう座のシーズンには少し早いのですが、χ星を目にするチャンスです。61番星とともに星を見る会などでぜひ自分の目で確かめてみてください。61番星も望遠鏡を向けますと5等星と6等星の二つの星からなる二重星です。(盛岡天文同好会会員)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします