晴れたる青空。石造りの門の下には手に刷毛(はけ)を持った、ちんちくりんのひげもじゃおじさん。足下には、赤青黄、三原色で満たされたおけ。見上げれば、門の上にも林立する刷毛のどれもが、さまざまな色で染まっていて。
…ところがページをめくって一転、時が遡(さかのぼ)って、おはなしは灰一色の荒涼たる世界。これでは雨がやんでも日が照ってもわからない、と嘆いているのはくだんのおじさん、実は魔法使い。変わりばえのしない灰色の世界を忘れようと、あやしげな調合を重ねるうち、できあがったのは、のちに「あおいろ」と呼ばれる「色」でした。
村の人々にこわれるまま、なにもかもを青く染め上げた魔法使い、最初は悦に入っていましたが、やがておかしな気持ちになってきて? …次々と発明されるきいろ、あか、とめまぐるしく染め変えられた世の中は、そのたびにどこか具合がおかしくなる。…はじめは目新しくても、それ一辺倒では均衡が取れない。ひとが健全に暮らすには、ほどほどに、いろいろ、あった方がい〜んじゃないの? それは音や、においや、趣味や生き方考え方にも、あてはまるのでは…。
【今週の絵本】『いろいろへんないろのはじまり』A・ローベル/作、まきたまつこ/やく、冨山房/刊、1260円(税込み)5歳〜(1968年・アメリカ)
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