2005年 6月 12日 (日) 

       

■ 〈雑誌創刊号の話〉206 成ケ澤栄治 「EQ」

 

昭和53年の歌謡界は、ピンクレディー(PL)なしには語れません。この1月、あの「UFO」が150万枚を突破し「サウスポー」「モンスター」「透明人間」とヒットが続くのでしたが、「透明人間」の歌詞の終わりに「消えます!」とあるのは、そうなる運命のPLを暗示するかのようでミステリーです。

  同1月、アメリカの『エラリー・クイーンズ・ミステリー・マガジン』が、日本語版『EQ』(A5版232ページ)として光文社から創刊されました。

  本誌がアメリカで創刊されたのは、昭和16年の秋ですから、日本の読者にお目にかかるのは、戦争をはさんで実に37年目という事になるのです。

  巻頭言で、E・クイーンは「…(略)創刊にあたり、私はアメリカの読者に対し、EQMMの編集上唯一の基準は「質」ということになろう、と約束しました。その約束を日本の読者にもいたしましょう」と、メッセージを寄せるのです。

  創刊特集も「八〇〇〇マイルを越えた共感」と題し、E・クイーンと松本清張の対談を組むのです。

  「ミステリー・ファン待望のE・クイーン来日が実現した。クイーンはアメリカの探偵小説そのものである。彼のミステリー界に及ぼした影響ははかり知れない。彼を迎えて語るは、わが国推理小説界の巨星、松本清張です」と、対談は始まります。

  トリックの発想法・執筆の秘密・ミステリーの将来など、3時間余りにわたって交わされた日米ビッグ誌上対談に、日本のミステリー・ファンも満足でした。 横溝正史がエッセーに「エラリー・クイーンと私」と題し、せっかくの来日にも健康上の理由で会えなかった悔しさを書きます。

  海外短編、ベスト8の@「異色女流」には、B・キャラバン「風車の夢」ほか四作を、Aの「奇想天外」には、W・バンキアー「ドリーン・グレイの声」ほか一作、B「名探偵登場」には、R・フィッシュ「エリート・タイプの怪事件」ほか一作を紹介します。

  評論には、K・エイミス・小鷹信光・前橋優らが、そしてゲスト・エッセーに、池田満寿夫が「ミステリーと私」を寄せるのです。

  パズル小説の巨匠とも称される、E・クイーンの来日を記念して光文社は「偉理句韻」という漢字のシャレた表札を贈ったそうです。
(毎週日曜日掲載)


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