山なみの暮の紫紺のそが西に
ふりそそぎたる黄のアークライト
〔現代語訳〕暮れの山並みが紫紺色となっている、その西に降り注いだ黄色のアークの光よ。
〔評釈〕「明治四十四年一月より」〔「歌稿B」〕九十五首の六十首め。「歌稿A」では、「西ぞらの暮の紫紺のそが西にふりそゝぎたる黄なる光よ」。「アークライト」は、「アーク放電」を利用した光のこと。ここでは、そのうちのナトリウム蒸気のアーク放電の陽光柱を利用した「ナトリウムランプ」を指す。「高熱を発して強く輝き持続性あり、スペクトル線のD線による黄橙色の光を発して、最も目に感じるので、光学実験用光源や自動車道路照明灯火」等で利用〔『マイペディア』〕。「歌稿A」では、冒頭に「西ぞらの」と場面を限定しているが、抽出歌では、「そが西に」と具体性を消しており、「アークライト」が「ふりそそぐ」世界の不可思議性を増し、現実世界の対応を切断している。(岩手大学教授)
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