2005年 7月 9日 (土) 

       

■ 〈盛岡百景〉28 米内川渓流 市民に命の水配る清流

     
   
 
清らかな水が水道水に使われている米内川
 
  中津川との合流点から米内川沿いの道を上流に向かっていく。整備されているとはいえ自然の趣を残す。時折、川辺に降りて緑の葉が生い茂る中で流れの音を確かめる。夏の暑い日も、数度下がったような気分になる清涼な川音だ。川底が見えるような澄んだ水と木漏れ日のきらめく川面。その上をトンボがさっそうと飛び交う。

  道はやがて林道になる。奧へ進んでいくと北上高地の分水嶺、御大堂山(1196メートル)へ至る。岩泉町、玉山村との行政境に当たり、米内川の水源となっている。中津川の合流点まで約25キロ。この間に米内浄水場に運ばれる取水口がある。米内川は流域の自然の命とともに市民の命を支えているのだ。

  公共水道整備の決まった盛岡市を1929年、水道事業の権威とうたわれた内務省技師河口協介が訪れた。杜と水の都盛岡には取水可能な川が幾つもあり米内川、中津川、雫石川を視察。水源選定を求められた河口は米内川を選んだ。流量は干ばつ期でも支障はないと折り紙をつけ、自浄作用を繰り返し清流を保つ水質と約2000ヘクタールの県有模範林があるという水源かん養も大きな理由だった。

  34年11月、米内浄水場で通水式が行われ12月から各戸給水が始まった。余談になるが、通水を記念して岩手公園の鶴が池に石をこうらに見立てた亀と鉄製の鶴3羽の噴水が整備された。しかし、南部中尉騎馬像と同様、戦時中に供出され今は石の噴水になっている。

  長年、盛岡に暮らしている人々は首都圏などから来た人においしさを指摘され、ありがたさを気付かされる。もともと汚れの少ない水は塩素消毒の量も少ない。市は水道水源保護条例を02年に施行し、水源かん養林の取得を進めるなど水源の汚濁や汚染の未然防止に努めている。

  渓流に沿って自然散策を楽しむためにも命の水を清らかに守るためにも、米内川の環境をすべての市民で守っていかなければならない。(井上忠晴記者)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします