2005年 7月 9日 (土) 

       

■ 〈阿部陽子の里山スケッチ〉13 三ツ石山(みついしやま、1466メートル)

     
   
     
  岩塊がド〜ンと刺さったような広い頂上圏。どこから眺めても目立って特定しやすい「三ツ石山」は、ミドリの大海原の、まさに指針の山である。

  夏山シーズンが本格的に到来すると、山々を泊まりながら縦走するパーティーが多くなる。この2、3年、岩手山周辺の避難小屋はこぞって新しくなった。その一つ三ツ石山荘は、裏岩手連峰縦走の十字路、最重要拠点として登山者の安全を見守るゴッドマザーのような存在だ。

  アオモリトドマツの樹幹から山容が見え隠れするようになると、湿原の中央にある三ツ石山荘はもう近い。歴史は古く、昭和28年に建てられた初代山荘は、登山者の失火により昭和46年7月に全焼したとある。その後、建て替えられたが平成16年に解体。現在は三代目。最新のペレットストーブを備えるなど、シーズンを問わず裏岩手のよりどころとして、ますます高い人気を得ている。

  「山に泊まってみたい」と、かねがね言っていた道子さん。しかし、岩手県の山小屋はおおむね無人だから、衣・食・住ともに自分で賄わなくてはならない。あれもこれも詰めれば、肩にくい込むザックに泣かされる。

  山の大先輩である小西喜助さんの『山の道具たち』は、工夫の数々だった。「コンパクト・シンプル・軽い」が一番!そして何よりも、自分の使い勝手にあうよう改良するのがコツだ、と話された。
 
  三ツ石山へは日帰り登山が可能だが、1泊して自然三昧(ざんまい)の一夜を過ごすのも悪くない。三つのコースとも、まず三ツ石山荘をめざし、そこから1時間で山頂を往復する方法だ。

  1466メートルの高みで眺める十和田八幡平国立公園は、雄大でどこまでも深く続く。特に鬼の口のように割れた岩手山が圧巻。ウサギやカモシカ、クマだって生きていけそう……そんな動物気分がジ〜ンとわいてくる。

  ○網張温泉コースは、スキー場のリフト3基を活用すると、標高1300メートルまで一気に上がり、犬倉山の肩を左折し大松倉山へと向かう。リフトの運行日程と時間を事前にしっかり調べよう。
  ○スタートしてすぐ階段状の急斜面を登る松川温泉コース。樹林のトンネルをくぐり歩くため、紫外線カットで爽快(そうかい)だ。

  ○滝ノ上温泉から南斜面を真っすぐ登るコースは、葛根田川に注ぐ北白沢沿いにせせらぎを聞き、4・3キロメートルを涼やかに歩く。どのコースを選んでも約2時間の歩行で山荘に入れるだろう。

  この7月、シュラフ(寝袋)を買った道子さんは、いつになく張り切っている。

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