2005年 7月 12日 (火)
■ 〈美術〉光と水と樹木の世界 山口博之さんが個展
山口博之さんと「しんらばんしょう−Natural World」(右)、「昇華する水域」
玉山村藪川の工房凛クラフトの山口博之さんの「A NEW FIELD OF CRAFT」展が15日まで、盛岡市安倍館町の一ノ倉邸で開かれている。木と透明な樹脂を組み合わせた「青の台座」を中心に、約80点が展示されている。
一貫して作品のテーマは自然。金ぱくや、表面に流す錫(すず)などの金属は光を表現。ブルーの透明樹脂では水を、グリーンは樹木を表すという。今展では初めて、台座のほかに、透明樹脂と木材の融合技術を使ったオブジェを発表している。
「悠久の扉」は、鳥海山で発見された神代(じんだい)杉を使ったオブジェ。同杉とは、火山灰の中に埋もれて半化石化した杉のこと。今回手に入ったものは、2600年前のものという。「長い時間の流れの扉が開いた」という思いを込めて、タイトルを付けた。
形にはほとんど手を加えず、製材したままの板の状態で使用。朽ちてはがれ落ちた端の部分もそのまま生かす。落ち着いた、独特の色合いの木肌の左上から右下にかけて、紫とブルーの樹脂を流し、下に金ぱくを配して仕上げた。
「しんらばんしょう−Natural World」は、トチノキを使った3つの部分からなるオブジェ。ブルーの樹脂を流し込み、端を氷のようにカットした中央部は、藪川の冬の厳しさと、りんとした空気をイメージ。右側に配したトチノキは、下の一部をカットして紫色の樹脂を流し、土を表現。左側には荒々しさを残す木のこぶを配置した。
中央下に設置されたグリーンの立体物は樹木の緑を表すが、わざとステンレスの棒で上に掲げることで、人工物であることを意識させる。「森羅万象」は宇宙そのものを表すが、その中には人間も入っているというメッセージを盛り込んでいる。
今展のテーマ「工芸の新しい領域」には「1カ所にとどまらずに、常に進化していきたい」という思いを込める。一方で目新しいものだけを志向するのではなく「昔の日本人の自然を敬い、感受し、昇華させる、繊細でセンシブルな感性を大切にしたい」と思っている。
午前10時から午後3時まで。月、火曜日は休館。
本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:
hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします
トップへ