2005年 8月 4日 (木) 

       

■ 〈お父さん絵本です〉69 岩橋淳 そらいろのたね

 野原で飛行機を飛ばして遊ぶ男の子に、きつねが自分の「宝物」そらいろのたねとの交換をもちかけます。…サルとカニの故事にもあるように、この時点できつねは自称「宝物」の価値に実は気づいていないところがミソ。

  実直な男の子は種をまき、水をやって「あした」を夢見ます。するとふしぎ、種から芽生えた若葉は、はじめ小さな家となり、みるみるうちに森の動物たちもこぞって住めるような高楼へと育っていきます。さて、きつねはと言うと、男の子からまんまとせしめたはずの飛行機には程なく飽きてしまい、折からの騒ぎの方へと行ってみるとこのありさま。目先の楽しみにとらわれて軽率な取引をしてしまったきつねくん、悔いる間もあらばこそ、そらいろのたねのもともとの所有権を主張して、みんなを追い出してちゃっかり居座ってしまいます。…この物語、ついにはバベルの塔を彷彿(ほうふつ)させる結末が用意されているのですが、そのインパクトの強烈さは、一見無邪気なこども同士の「おもちゃの取り合い」に隠れて、おとなもドキリとさせる、実はキビシイ寓話(ぐうわ)なのかも、と思わせたりもするのです。

  【今週の絵本】『そらいろのたね』なかがわりえこ/文、おおむらゆりこ/絵、福音館書店/刊、780円(税込み)4歳〜(1964年) 



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