■ 〈英語ってどうなってんの?〉37 成田浩 ネコ−追う−ネズミの順番は
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絵や写真や映像なら事の次第はひと目で分かります。しかし、言語による情報の伝え合いは言語音やそれを担う語をいわば数珠つなぎに線状に並べていかなければなりません。
もっとも、「火事だ!」のように、短い語句での伝達も可能です。でも、いつ、どこで、どのように火事が起こったのか、原因は何かといったことになると、語を並べるしかありません。そこに語順が発生します。
一つの文を言うにも、話す場合は言語ごとに決められた順序に従って語を一つずつ並べなければならないし、聴く場合は少し待ちながらそれを追いかけなければならない。これは言語伝達の宿命です。
さて、英語の語順の特色を見るまえに、世界中にどのくらいの数の基本語順があるのかを、「ネコがネズミを追う」という文を例にして、おおざっぱにのぞいて見ましょう。
世界の言語の類型をみるのに、「ナニナニがナニナニをナニナニする」という文を基本語順としてとりあげるのが一般的です。
いま、中学校で習った主語S、動詞V、目的語Oというのを使って書き出してみます。なお、基本語順というのは、慌てたり、強調のためにわざと語順を変えたりしない語順のことでもあります。ネコがネズミを追いかけている場合、その語順は次の6通りあります。
各語順に属する言語を少しだけ挙げておきました。
SVO ネコ 追う ネズミ:
英語、フランス語、スワヒリ語、スペイン語、中国語
SOV ネコ ネズミ 追う:
日本語、トルコ語、モンゴル語、朝鮮語、ヒンディー語
VSO 追う ネコ ネズミ:
ウエールズ語、タヒチ語、ヘブライ語、サモア語
VOS 追う ネズミ ネコ:
マラガシ語(マダガスカル語)、タガログ語、マヤ語
OSV ネズミ ネコ 追う:
カバルド語(北コーカサス地方の言語)
OVS ネズミ 追う ネコ:
ヒシュカリアナ語(ブラジルのカリブ語)
これらのうち、おしまいの2つの語順は圧倒的に少数派です。ここでは、上から順に英語式語順SVOと日本語式語順SOVの2つについて、いろいろの特徴を見ていきましょう。
この2つのグループには、どちらも多くの言語が含まれています。さて、世界の言語の中で、英語式語順と日本語式語順とどっちが多いと思いますか。
(言語人文学会長)
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