角川書店は、終戦直後の昭和20年11月、国文学者で俳人の、角川源義によって創業されました。
戦後の円本ブームは、「角川版・昭和文学全集」の企画から始まるのです。
昭和51年、若大将こと、角川春樹は映画界に進出しました。第一作「犬神家の一族」公開に合わせて原作者、横溝正史の文庫本フェアも企画、「読んでから観るか、観てから読むか」のあのコピーで、角川商法を成功させました。
昭和58年5月、「女性のための小説誌」と宣伝する文芸誌『カドカワ』(A5判・388ページ)が創刊されました。見たところ、女性小説誌とことわるほどの内容でもないのですが…。
創刊の辞も編集後記もなく辛うじて、風間完の「表紙の女」から女性誌であるらしき事が伺えるのです。
「女の顔の表紙を毎号担当することになった。これは今私がしている仕事の中でかなり責任の重いものだと思っている。眺めていると、誰の心もなごんでくるような優しい美人を描きたいと思うが、一か月に一人ずつ否でも応でも、そういう美人を生んでゆかねばならぬ…」と書いています。それに女性の執筆者が多いということも、そういう意味なのでしょう。
例えば「美読家に捧ぐ女性作家の饗宴」という特集には、平岩弓枝「風祭」・山村美紗「愛のキャンセル待ち」・森瑶子「破綻」・斉藤澪「川のほとりで」など、繊細で豊饒(ほうじょう)な筆致の人気女性作家らを載せます。特別対談「男は教育しなくては」には、田辺聖子と落合恵子が登場。「名作の中の女たち」の解説には、瀬戸内晴美と前田愛が当たるのです。
エッセーに、原田康子・下村満子・堤江実・宮尾登美子・佐藤愛子・曾野綾子・松尾葉子・河野貴代美・西川勢津子・羽仁未央・小池真理子と並びます。
もちろん男性作家も村松友視・阿刀田高・渡辺淳一・水上勉・笹沢左保・遠藤周作・江藤淳・佐野洋・吉行淳之介らが登場します。
岩手が好きな椎名誠の「ハダカ男がやってくる」は、大東町の大原水掛け祭です。女性雑誌にハダカ男の熱気がたぎる現地ルポで、絵と文と写真の三本立です。
角川の御曹司、春樹氏は多才な人物です。活字・映像・音楽の三位一体商法なるものを生み出しましたが、麻薬の密輸にまで手を出してしまいました。
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