地に倒れ
かくもなげくを
こころなく
ひためぐり行くか
しろがねの月
〔現代語訳〕地に倒れて、こんなにも悲しんでいるに、心なくも、ひたすらめぐっていくのでしょうか、白金の月は。
〔評釈〕「歌稿B」の「大正三年四月」百四十八首中の四十一首目で「127」歌。前に置かれた「126」歌と同じく、冒頭に「ちがこひし」のメモがあって、各句の冒頭をたどっていくと「ちがこひし」の折句となっていることが分かる。一首の構成が、「(地に倒れかくも)なげく」話者と、「こころなく」「ひためぐり行く」「しろがねの月」とが対比されるものとなっているのだが、「嘆く〔(ナガ/長)イキ(息)が、『岩波古語辞典』〕」内容の具体が分からず、そうした点では、物足りないものとなっている。もっと端的に言うと、「嘆く」の具体に乏しいから、読者の共感が十分ではない可能性が大きくなるのである。「地にたおれ」も、話者の実際の行動であったのかどうかも論点となろう。
(岩手大学教授)
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