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「雨の夕べ」(2005年、ドライポイント) |
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盛岡市の版画家、戸村茂樹さんの銅版画展「存在の彼方へ」が3日、岩手町の石神の丘美術館で開幕した。学生時代の1970年代から、2005年までに制作された銅版画作品80点が展示されている。初日は戸村さんと、同美術館の六岡康光芸術監督の対談が行われた。
銅版画を選んだ理由について、戸村さんは磨かれた金属版が美しいと思ったことと、プレス機など大型の道具を使った作業そのものが面白かったことのほか、70年代に盛岡市内中心部にあった、1週間ごとに版画作品を紹介する画廊からの影響を挙げた。リアルタイムで、世界でつくられている版画作品を見ることができたことが刺激になったと振り返る。
樹木のある風景がモチーフとして多い理由については、子供時代に木に囲まれた暮らしをしていたためという。「木は自分を受け止めてくれる大事なものであり続けた。冬の木も好きだが、夏の葉が生い茂った緑も好き。その陰影の中に自分の気持ちを引き付けてくれる要素があると感じている」と話す。
「可視の部分を描きながら、不可視の領域も意識しているのでは」という指摘には「ぼくらは見えるものを通してしか、見えないものを感じられないと思う。例えば虹を見るとき、人は誰でも、自分の通り過ぎた時間や未来へのあこがれなど、形のないものをイメージできる。美術は専門知識を持っていないと語り合えないものではなく、確かな人生を持っている人ならば受け止められるものであったはずだし、そうありたいと思う」と応じた。
「自分は木を描いているが、そこに描いていない部分を感じてほしいという気持ちが強い。自分自身がものを見ていても、具体的な雲や身の回りの自然の中に、その背後にある気配のような、時間のような抽象的なものを強く感じる」と話す。
モチーフは具体的な場所ではないが、スケッチは描き続けているという。「見ることは描く時間よりずっと重要。健康な目を与えられていて、世界が見えていることはありがたいこと。こんな世界に自分が目を向けているということを誰かが受け止めてくれる幸せは年々強く感じている」。
美術以外で最近関心を持っている世界はと問われると「自分にとって一番関心があるのは人との出会い。どんな出会いがあって、どんな時間を過ごせるかということは、ぼくの人生を貧しくも豊かにもすると思う」と話していた。
1951年青森県八戸市生まれ。76年に岩手大学特設美術科卒業後、盛岡を拠点に活動を続けている。
10月10日まで。午前9時から午後5時まで。入場料は一般300円、高校、大学生は200円、中学生以下は無料。
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