2005年 9月 6日 (火) 

       

■ 〈英語ってどうなってんの?〉46 成田浩 無意識の文法

 やれ、五段活用、上一段活用、下一段活用、カ行変格活用などと非常に複雑な動詞語形変化を自由にこなすわたしたちにとって、英語の動詞活用ははるかに簡単だと言われても、それは次の2点で納得できないのです。

  それは、一つには日本語の場合は生得的に使って無意識のうちに言語直観
(linguistic intuitionの訳語)になってしまっていること。もう一つは、いざ後天的にいわば意識して英語を練習し始めると、前回ふれたように、語形変化の軸が両言語間で全く違っていることでしょう。

  例えば、goの場合、現在、「行く」のが自分でもなく、相手でもなく、ある一人の第3者(物体も含む)であれば、goesとなります、それ以外のI, we,you,theyに当てはまるものはgoのまま、変化なしです。

  ですから、日本語の動詞の五段活用よりはずっと簡単なはずですが、何せ変化させる「きっかけ」が思いもよらないことなのでのみこめないのです。

  でも、昔の英語でなくてよかった!1100年ころまでの英語では次のようでした。
  hearを例に見てみましょう。綴りを現代英語にあてはめて示してみると:I heare you hearest He,she,it

hearth we,they hearath でした。現在形だけでもこれだけありました。

  それがHe(She,It)の場合だけ〜th(昔は別の文字)が残り、これが「3人称単数現在」の動詞語尾〜sとして残ったのです。いっそのこと、これも消えてくれればよかったのに。

  でも、そのころ印刷機が生まれたためにこれで言語が固まってしまったのです。これがなかったら、中学1年生の授業がどんなにか楽だったことか。 やっと複数形の〜sに慣れてきたころ全く別の概念の〜sが出てくるのですから。しかも、どちらも〜sなのですよ。わたしがある村の小さな中学校の先生をしていたときにこれをどうやって授業したか、珍授業はこの次に…。(言語人文学会会長)




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