2005年 9月 7日 (水)
■ 〈八幡平・農と輝のシーズ〉5 安比高原サッカー場組合
大自然の恵みに包まれた芝生のサッカー場で誘客を成功させた安比高原サッカー場協同組合の立花徳彦さん
郷土岩手が生んだサッカー日本代表・小笠原満男もこの芝の上でプレーした。民宿経営者らでつくる安比高原サッカー場協同組合は、旧安代町細野で、宿泊客だけにサッカー場を貸し出す方式で、サッカー選手や関係者、その家族らを年間3万人以上誘致している。減少するスキー客に依存せず、利用客を呼び込もうと発案。「みんなで潤う仕組み」で経済効果は絶大だ。(大崎真士記者)
同組合は「ASPA(アッピ・スポーツ・パーク・アソシエーション)」と称し、サッカー場5面(1面1万平方メートル)を整備。96年に着工、98年に3面からスタート。宿泊客は宿泊費に含まれた利用料でサッカー場が利用できる。サッカー場の貸し出しだけはしない。
大自然に囲まれ、緑豊かな芝生の上で、スポーツ少年団やクラブチーム、中学・高校のサッカー部が合宿や大会に利用する。年間4、5千人から現在は宿泊客1万4千人、応援の父兄を合わせるとその倍以上が訪れると推定される。口コミだけだというから驚く。
代表理事の立花徳彦さん(58)=民宿・かすみ荘経営=は「小学校6年生の東北選抜選手がトレーニングに来る。東北の有望選手の通過点。東北のサッカー関係者で知らない人はいない」と豪語する。来季の宿泊予約はほぼ埋まり、使用が続いて芝生を休ませる暇もないほどだ。
安比高原スキー場もスキー客の減少にあえぐ。立花さんは「冬の収入で1年間生活してきたが、通年で夏も何かをしなくては」と94年から構想を温め、地域にある豊富な土地の活用を考えていた。
友人の大学教員からサッカーの競技人口の多さを知り、ルールもサッカーの経験もないまま賛同してくれる民宿経営者ら5人と協同組合を結成。グラウンド整備は安比高原ゴルフ場の指導を受け、兼業農家として所有する重機や経験を生かした。
5月の大型連休の受け入れに向け、スキー客のいる3月半ばから融雪剤をまき始める。今では冬と夏の収入が逆転する民宿もある。
「安代には風、さわやかな気候、空気、水、自然そのままの食材がある。都会の子供たちが元気になって帰っていくと言ってもらえる。買い物する場所がなく、お金を使う心配がない。脱走できないし、脱走してもあきらめて戻ってくる。安心なのが主催者にいいようだ」と立花さんはいう。
男性はリンドウ栽培など農業とグラウンド整備、女性は民宿と分業する。農作業の繁忙期はシルバー人材センターから短期雇用している。8月27、28日に県下のサッカー選手2千人規模の大会があり、八幡平山頂レストハウスまで紹介するほどの入れ込み数だった。経済効果は計り知れない。
立花さんは「これからもっと用地を貸してくれれば、いい芝生で練習や大会ができる。閉校の校庭を芝生育成に使えたら喜んでもらえる」と考える。
「みんなが潤う仕組み」で地域がもっと活性化するよう、旧松尾村のサッカー・ラグビー場を自分たちで維持管理したいと立花さんは申し出る。「使いっぱなしのグラウンドはいけない。お客からの収入で維持管理していくわたしたちの方法なら、うまくできる」。
問い合わせは、かすみ荘(電話0195−72−5613)へ。
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