「日本の民話えほん」と銘打たれたシリーズの一冊であるこの作品の紹介にあたって下調べをしていたら、出てくる出てくる、「日本書紀」までたどり着いてしまいしました。しかも本作の舞台・丹波以外にも遠江、信濃などに同様の話が伝わっていて、「猿神退治型説話」と分類されるということなど、調べるほどに興味は深まっていくのです。
刈り入れが終わった村の娘を豊年の代償として一人ずつさらっていく妖怪を知恵と力で退治する「しっぺいたろう」の物語は、古くはスサノオノミコトのヤマタノオロチ退治や映画「七人の侍」にも共通するモチーフ、言ってみればワガクニの国民性に最もなじんだオハナシかもしれません。本作では、幼児にも分かりやすい語調に大ベテラン太田画伯の格調高い画がマッチ、親しみやすい作品になっています。妖怪の描写も迫真、わが家では当面、「悪い子にはしっぺいたろうを呼んでくるよ!」が有効のようです。
おっと、「しっぺいたろう」とは白い巨大な犬の名。「悉平太郎」と書き、「しっぺい」は「疾風」またはアノ痛い遊び(「竹べら」、座禅用語!)の転化であるとも言われています。
【今週の絵本】『しっぺいたろう』香山美子/文、太田大八/画、教育画劇/刊、1260円(税込み)3歳〜(2000年)
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