2005年 9月 8日 (木)
■ 〈八幡平・農と輝のシーズ〉6 ルーデンス農場の昔たまご
ルーデンス農場の昔たまごを生産している梶本範生さん、敦子さん夫妻
八幡平市平笠、岩手山ろくに昔ながらの養鶏で「ルーデンス農場の昔たまご」を生産する梶本範生さん(52)、敦子さん(51)夫妻がいる。二人のこだわりは「命の循環」。卵を産む鶏に愛と感謝を注ぎ、農場や開放する菜園に集う人たちと生命の結びつきを実感したいという。02年8月に農場を始めて丸3年。二人はまだ「卵からかえってぴよぴよしている状態」と笑う。(大崎真士記者)
2・5ヘクタールの農場には、ボリス・ブラウンなど殻が赤系の卵を産む鶏がひなを含め約400羽。ひなから育て半年経過してから約2年卵を産んでもらう。年齢などによって大きさ、色、形に個性がある。
味は「昔食べたような懐かしい味。安心して食べられる。とってもたんぱくで卵嫌いの幼児も卵かけご飯で食べられる」という。どれも1個50円。地元産直や盛岡市にある「小さな野菜畑」などこだわりの販売所で提供している。東京、奈良へも配送する。
味の秘密は養鶏方法。狭い小屋や鶏舎に閉じ込めず、かつて農家が庭先で鶏を自由に歩き回らせていたように運動場で自然の恵みを浴びる「平飼い」をしている。配合飼料は使わない。黄身の色合いを出す餌も与えない。
もみがら、のこくずなど繊維質が3割の自家配合・発酵飼料を食べさせている。発酵させることで消化しやすく、たい肥として有効活用される。地元の平笠にある野菜の選果場で廃棄される野菜、旧西根町内の豆腐屋のおからも混ぜている。
敦子さんは「野菜が減農薬か、大豆が遺伝子組み替えのものかというのではなく、素敵な家族や人たちが経営するところのものを使うことがこだわり。互いに安心できる関係がある」と目を輝かせる。
範生さんは「無農薬だから安全安心というより、食糧自給率が低く食糧難になるかもしれない日本で生産された農産物の半分も消費者の口に入らない社会はよくない。家畜は人間が食べられないものを利用して人間が食べるものに変えていく。だから卵を産んでもらっている鶏によい飼育環境づくりをするのが自分の仕事」と話す。
範生さんは大阪出身、敦子さんは福岡生まれの東京育ち。二人が結婚し、岩手に移住したのは88年(昭和63年)4月。範生さんは安比高原牧場をやめ、取得した土地を農場としてスタートさせた。
敦子さんは「みんなつながっていると感じるのに岩手はとてもいい。自然の移り変わりの美しさが印象的だった。この場所が命のつながりの足がかりになれば」と夢を話す。
範生さんは「今までにない農業をやろうとすると、行政は前例がないからと言う。風通しの悪さにエネルギーを浪費してしまう。わたしたちは新規就農者。農業の担い手が減っているのに新しいことを受け入れない。今のままでは農地は守っていけない」。農業を生かした観光立県へ行政側の意識改革に期待する。
場所は国道282号から岩手山焼走り国際交流村へ接続する県道焼走り線を岩手山方向に進み、上坊牧野に入る道路の反対側。電話0195−74−3357。ホームページあり。(終わり)
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