2005年 9月 10日 (土) 

       

■ 〈英語ってどうなってんの〉47 成田浩 清子は歩くズ

 教室の窓からは見渡すかぎり田んぼ、遠くに農家が点々と見える。そこは1学年1クラスの小さな中学校でした。生徒は36人ほど。清八はきょうも鼻をたらしているだろうか。おひがん(というあだ名の生徒)はニコニコ顔してるかな。清子の目はきょうも丸いかな。

  さて、きょうの授業はあの動詞につく〜sがでてくるぞ。物事がたくさんあるときにつく複数の〜sのほうもまだ十分ではないが、きょうは動詞につく〜sがでてくる。

  そこで、まず清八に教壇に上がってもらい、そこを歩かせながら、「わたしは歩く」と日本語で言わせた。次に、わたしも歩いてみせて、わたしを指して「おまえは歩く」と言わせた。次に清子を教壇から少し離れたとろを歩かせた。そして、清子の行動を皆に言わせました。

  すると、生徒たちは清子の行動を指して「清子は歩く」と言いました。そこで、わたしはすかさず「清子は歩くス」と「〜ス」をつけました。この変な日本語に生徒は一斉に笑いました。「なして、スなんてつけるの?」わたしは「あのナ、自分のごどでもなぐ、相手のごとでもない誰か一人の動作を言うときは、スとかズをつける言葉なんだよ、英語は」と言いました。ここまでは、すべて日本語です。

  それから、「歩く」はwalkと言うのだと教え、子供たちに似たような場面を作って I  walk か You  walk とか Kiyoko walksとか、ワイワイやらせました。

  ところが、その時、教室の窓の外にベゴ(牛)が1頭現れたのです。チャンス!「ほら、ベゴが1頭歩くって英語で言ってみて」と生徒たちにうながしました。生徒たちはA bego walk.と言ったのです。ガーン!生徒は〜sがつくのは人の動作のときだけだと思ったのです。続く…。

(言語人文学会会長)

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