2005年 9月 11日 (日) 

       

■ 〈経済〉M&Aの時代 中小企業にむしろニーズ

 中小企業のM&A(合併と買収)活用を考えるM&Aセミナーが8日、盛岡市内丸の県民会館会議室で開かれ、市内の建設、不動産、サービス、会計などの経営者ら20人が受講した。日本M&Aセンター情報開発部副部長の笹川敏幸氏が、M&A活用の意義や活用事例などについて話した。主催は同市本宮の岩手M&Aセンター(佐藤誠司代表)。

  笹川氏は県内のM&A案件も手掛ける。04年の大企業のM&Aは、2200件台になり、05年度は3千件を超える勢い。笹川氏は「04年の中小企業のM&Aは7千件を超えており大企業より多い。岩手県内の中小企業からの案件も受けている。これからも増加する」と言う。

  中小企業でM&Aが進行している背景の主因は後継者問題。「戦後、会社を興し成長させた中小企業の社長の多くが後継者問題を抱えている。跡継ぎがいない状態。子供を一流大学に進学させ、一流企業の社員や医者や弁護士などにさせているケースも少なくない。子は親の仕事を継ぎたがらない」と言う。

  なぜ後継者問題の解決にM&Aが活用されるのか。「会社を清算すれば良いと考えられるかもしれない。会社は経営されているから価値がある。清算するとなれば在庫や土地の価格は半分になり、建物や機械の価値はゼロになるかもしれない。撤去すれば費用も発生する。しかしM&Aの場合は資本の合計に将来の利益を見込む営業権を加えた譲渡が可能」と述べた。

  年商5億円の千葉県のN運送が同6億円の群馬県のO運送会社に株式譲渡したケースを紹介した。N運送の社長(63)は後継者がいないため譲渡を検討。O運送の社長(50)は営業エリアを拡大し収益増を考えていた。

  M&A実施後はN運送の社長は一定の利益を受け取り、N運送の従業員、取引先の引き継ぎも円滑に行われた。O運送は営業エリア拡大の時間を短縮でき、従業員、取引先の迅速な確保ができたと言う。

  笹川氏は「M&Aと言うと従業員のリストラが話題に上がる。それは大企業同士の合併の話。中小企業のM&Aではリストラの前提はない。譲渡企業側の従業員にもメリットがある。後継者難で心配するより会社は残る。オーナーが変わるだけ。譲受企業の給与が高かったり、福利厚生が充実していればさらにプラス」と言う。

  M&Aの成功率は5割。笹川氏は「この数字をどう見るか。企業を立ち上げて10年後に残るのは6%ほど。いずれ会社法も大きく変わる。M&Aを実施しやすい方向に向かう。企業経営をスピードアップするため」と述べた。

  岩手M&Aセンターの吉田武美コンサルタントは「M&Aに関するセミナーとしては1回目。中小企業のM&Aの案件もさらに増えそう。今後も状況に応じて開催したい」と話していた。

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