2005年 10月 8日 (土) 

       

■ 〈賢治の歌〉186 望月善次 目は紅く、関節多き動物が

 目は紅く
  関折多き動物が
  藻のごとく群れて脳をはねあるく
 
  〔現代語訳〕目は赤くて、関節が多い動物が、藻のように群れて脳を跳ね歩くのです。

  〔評釈〕「歌稿B」の「大正三年四月」百四十八首中の七十七首目で「166」歌。「歌稿〔A〕」では、抽出歌と同じ表現の上に、初句から第四句にかけて「あかまなこふしいと(多き)いきものが藻とむらがりて」と書き込みがあり、「歌稿〔A〕」に、「歌稿〔B〕」より新しい部分の存在したことを示す一例ともなっている。「関折」は、「関節」の誤記。賢治が実際に体験したイメージか、想像により作り出したイメージか、あるいは自身の思いを仮託しようとしたイメージかは、作品の範囲からは定め難い(伝記的事実を重ねると、第一の実際に体験したイメージの確率が高いというのが評者の立場)。いずれにしても強烈なイメージであり、賢治の超現実的面を代表する一首とするにふさわしい。
  (岩手大学教授)

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