2005年 10月 10日 (月) 

       

■ 〈美術〉様相のずれた風景画 大宮政郎さんが個展

     
  大宮政郎さんの作品「家族」  
 
大宮政郎さんの作品「家族」
 
  盛岡市の大宮政郎さんの個展「人動説シリーズ5・存在と気配」が15日まで、同市上ノ橋町のギャラリー彩園子T、Uで開かれている。立体作品やドローイングなど約70点が展示されている。

  立体作品はすべて木製。ほとんどの作品は木の枠の中に、人体の形に切り抜いた板を垂直にはめ込んでいる。その突起物は正面からは1本の線のようにしか見えないが、少し動くと人体に見える。

  風景画の中に描かれた人物は、永遠にその場に存在し続けるが、常に忙しく動き回る現代人の感覚から見ると「様相のずれた風景画」ではないかと思う。現実の風景では「人物の存在の痕跡・気配」は見えても、同じ場所には人物はいないことが多いからだ。

  その観点から「存在としての気配はあるが人物は見えない」「角度を変えて見れば点景として存在している」という、存在と不在(気配)を一つの画面に同居させようと、今展の作品に取り組んだ。

  1968年に初めて外国旅行をしたときに、飛行機の窓から6時間、夕焼けを見続けるという体験をした。それが、スピードについて考えるきっかけとなったという。

  人間は自動車や飛行機を発明してスピードを獲得すると同時に、違った視覚も得た。にもかかわらず、美術の世界では今も遠近法に縛られたまま。「しかるべき視覚を持った芸術作品を作り出す必要があるのでは」と思い、動いている人が見る風景を、作品として表現するという取り組みを開始。人動説シリーズが生まれた。

  次の段階では「痕跡と無」あるいは「気配と無」を考えているという大宮さん。「無は死と共存する。人生ドラマとして、この制作までいければと思う」と話していた。

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