2005年 10月 13日 (木) 

       

■ 〈校長室の窓から〉14 野口晃男 木登りしている子がいます

 秋の気配が漂う午後のことでした。

  高学年の子が校長室のガラス戸をコンコンとたたきました。

  「校長先生、木登りしている子がいます」

  校庭に目をやると、メタセコイア(あけぼの杉)の木の上に子供の姿が見えます。体の大きさから、低学年と分かります。

  すぐに注意することもできましたが、そうはしませんでした。こんなときは急に大声を出すとかえって危険なのです。

  「木の下にほかの子がいないこと」「動作が機敏な上に慎重で、怖がっている様子がみられないこと」「登るのをやめて、そろそろ下り始めようとしていること」も、大声で注意しなかった理由です。

  教えてくれた数人の女の子と、木から下りてくるのをしばらく見ていました。

  「あの高いところにいる間は、落ちる心配はありません」「木の下に、ほかの子供たちがいる場合は、そばにいってすぐに注意しなければなりません」「ふざけている場合もすぐに注意しなければなりません」「今、同じ高さのところを横に移動していますね。あれは、下りやすいところを探しているのです」
 
  下りる場所が決まったようです。両手でしっかりと枝をつかんでいます。

  「あっ、今が一番危険ですよ。もうすぐ着地という今が一番危険なのです。もうすぐ下りられるという安ど感が、重大な油断につながるのです」

  こんな話をしている間に、その子はひょいひょいと身軽に、何事もなかったように地面に下りていました。たくましい子だなあと感心しました。
 
  学校では危険な遊びを禁止しています。それは、危険であることのためであって、危険が回避される状況下にあれば、むしろ奨励したいこともたくさんあるのです。
  学校週5日制のもと、土曜日、日曜日の過ごし方を「親と子の冒険の日」として過ごすことも一案です。(盛岡市教育相談員)




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