秋深し。朝晩めっきり冷え込んで、山では色づいた木の葉もすでに散り始めています。たまの休み、気分を変えてどこかひなびた温泉場にでも行ってお湯ゥにじぃっくりつかって、上がったら湯豆腐かなんかでキュッと一杯。いいですねぇ。…などと言っていられるのは人間のハナシ。山に暮らす動物たちは、厳しい冬の備えをしなくてはなりません。
何をなすでもなく、おなかをすかせてウロウロしているきつね。これが勤勉で働き者、ということなら何の心配もないのですが、期待にたがわず、ラクしてオナカイッパイになりたいと一計を案じます。それは、大きなお風呂をこしらえて、動物たちをおびき出そうというもの。板を削って、たがを締めて(これだけのウデがあれば働けばいいのに)、たっぷりのお湯を沸かして…、期待通り、ぞくぞくと現れてはお湯につかっていく動物たち。きつねはその背中を流してやったり水をくみに行ったりとかいがいしく働いて…あれ?
夜更けに独り湯船につかり、ため息、ひとつ。でも、明日に期待、ほのぼのの一編です。
【今週の絵本】『きつねのおふろ』国松エリカ/作/絵、偕成社/刊、1260円(税込み)4歳〜(1995年) |