2005年 12月 6日 (火) 

       

■ 〈英語ってどうなってんの?〉72 成田浩 Boys,be ambitious.

 これは札幌農学校(北大の前身)初代教頭、事実上の創設者、William Smith Clark(1826〜86)が帰国に際して残したBoys,be ambitious for the attainment of all that a man ought to be.「青年よ、人間の本分をなすべく大望を抱け」(小学館:大百科全書、項目執筆者は梅渓谷昇)の冒頭部分です。「少年よ、大志を抱け」という訳もあります。

  いずれにしても、相手に何かを強く促したり、命令したりする文です。普通、命令するときはある動作を促すのですから、「止まれ」Stop!とか「しっかり働きなさい」Work hard.のように、動詞で命令します。ところが、英語ではある状態を表す形容詞でも命令します。つまり、「ある状態で在りなさい」ということになります。

  おしゃべりをやめない子供に「静かにしなさい」と言うとき、Be quiet.やBe silentと言います。Stop smoking.とかOpen the door.などの英語はすぐ言えるのに、「静かにしてください!」となるとちょっと考えてしまうことがあります。なぜでしょう。

  「静かにしなさい」の「静かな」に当たる語は英語ではquietという形容詞です。ですから、「あなたは静かにしている」はYou quietではなくYou are quiet.ですね。 
       
  ところが命令は普通Youに向かってするのですから、Youを省略してしまいます。そんなら、Are quiet.となりそうなものだけど、「いる、在る、ます、です」に当たる語は、Iであればこそamとなり、HeやSheであればこそisとなる言葉ですから、YouがなくなっってしまったAre quiet.はあり得ないのです。

  I,She,Youなどによって束縛されない「〜です」はbeと言います。わたしは旧制中学の生徒のころ、このbeっていうのが分かりませんでした。

  Boys,be ambitious…は「青年たち(複数形)よ、意欲的な状態でいなさい」ということになります。「大志を抱け」と言う方が一般的な日本語に合うのでしょう。
  (言語人文学会会長)


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