村長の様子と言葉から、あまり長くはいられないと感じていた私は、とにかく助役でいる間は何事も滝沢村優先でいこうと決心していました。住民の集まりや催し物の情報があれば、土日でも夜でも、仕事が無い限り出るようにしました。
考えてみればこれは当たり前のこと。村のこと住民のことを知れば知るほど、いい仕事ができるはずです。特に、他所から来た私には必要なことでした。
長いこと役場にいる人でも、役場と家の往復だけでは、経営会議のメンバーにはなれません。滝沢村の部長は村全体を俯瞰(ふかん)する必要があるし、住民を知る必要がありますから。行ってきた人に対して、NPOや住民はどんなことを考えているの、なんて質問するより、自分の足と目で確かめるのが一番です。
出かけていってみると滝沢の住民パワーは想像以上なのでした。特に姥屋敷や柳沢といった、人口は少ないものの、昔ながらのコミュニティがしっかりしている所ほどパワフル。新しく地域に加わった人たちも、のびのびと活動しているのが印象的でした。
たくさんの住民パワーを見せてもらいましたが一番感動したのは柳沢の「ワーク」活動です。「ワーク」は柳沢の地域通貨。「やりますリスト」の中に自分ができることを登録しておき、「ワーク帳」という、通帳のようなものを介して、会員相互に助け合いが気軽にできる仕組みです。
最も利用されているのは、駅やバス停から柳沢までの送迎とか。交通の便が良くないという地域の課題を、住民の知恵と思いやりで克服し、地域の結束力を高め、会員相互の親睦も図るという、一石数丁の優れものです。新聞にもたびたび紹介されていました。便利で楽しいし、何より心が通って温かいシステムです。
一時全国でブームになった地域通貨、うまく続いている所と頓挫(とんざ)してしまった所があるようです。柳沢のワーク、ずっと続いて宮古まで、いえいえ岩手県中に広がって!
(滝沢村前助役)
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