岩大大学院1年の高橋克圭さんの初めての銅版画展「共存の孤独」が10日まで、盛岡市上ノ橋町のギャラリー彩園子Tで開かれている。この夏から制作を始めた新作14点を展示。現実の日常世界を狂気ととらえ、自己と他者とのかかわりを抽象的な画面の中で模索する作品群は、来場者に「共存とは何か」を突き付ける。
「偏執病」を指す作品「paranoia」は、題名通り一つひとつの小さな円を細かく描き込んで画面を作り上げたもの。現実世界をち密にとらえようという自身の思いが込められている。
高橋さんにとって現実は「自分以外の他者が存在すること」であり、それは同時に「危険と隣り合わせなもの」でもある。他者は自分の制御できないところで動き続け、自分の思い描いていることとの間にずれが生じる。その現実を狂気と感じている。
「一人が二人になると、そこに必ず権力が生じる」と高橋さん。集団になっても、一人に対しての権力を持ってしまう。その他者との関係の中で、共存を可能にするのは「孤独」と思う。他者と隣り合いながらも人は孤立して、孤独であるということを、作品の中で表現している。
これまでモチーフの中心だった具体物を排除して抽象に移行し、黒一色だった色彩も、青や緑などに広がった。伝えたいことをたくさん詰め込んでいた作風も、学部の卒業制作を機に一変。今は1点の作品の中に、見る側が具体的に感じられる部分が一つあればいいと思っている。
午前10時から午後7時(最終日は同4時)まで。 |