2006年 1月 3日 (火) 

       

■ 〈岩手競馬の再生は可能か〉山本武司・県馬主会会長に聞く

 ■現在の県競馬組合の取り組み状況をどう評価しますか。
  山本 当初、売り上げが15%減ぐらいでいってどうなるかと思った。計画は去年の実績と比べるとマイナス10%。実際はたいへんな事態に迫っているというのが現実の数字になって表れている。なかなか経費節減の部分が表れてこない。かなり苦戦しているというのがいまの競馬組合の実態だろう。

  ■現実に組合は多額の赤字があり、長期借入金を抱えている。どうすればいいですか。
  山本 構成団体のうち、盛岡、水沢には財政的に税金を出す余裕はない。思い切った施策とすると、高知競馬が2年前にやったように、県にとりあえず累積赤字の分を一回代わりに払ってもらうという手がある。岩手競馬の場合は岩手県が持たないと赤字解消はできない。

  ■赤字解消だけでは利子分の負担軽減だけですよね。
  山本 基本的には赤字解消には売り上げを上げるしかない。いかに売り上げを増やすかを検討するしかない。

  ■再生実行計画を達成すれば、売り上げ増になるというわけですね。
  山本 実行計画の通りやれば計算上は採算が合うことになっている。しかし、今年4月にオープンした時点から計画通りには行ってない。

  ■計画通りの数字を今年度、来年度で達成しなければ、議会は存続にノーと言うと見ているのですか。
  山本 今、1年目を終わろうとしている。知事とすれば、計画通りいけば来年度も続けていくということだろう。17年度の数字がかなり厳しい状況の中で、このままいけば18年の融資問題は県議会、市議会を含めて厳しい情勢と思う。

  ■柴田副管理者の手法に問題点があると感じているのですか。
  山本 柴田副管理者が実行計画の達成に向けて毎日努力しているのは認める。ただその達成度はオープンにされていないと感じている。それを判断する材料がない。

 ■ソフトバンクで馬券発売を来年度から始めるわけですが、Dnetがソフトバンクへ移行するという話もあります。どう見ていますか。

  山本 ソフトバンクと組んで始めるというのは、組合から正式にアナウンスがあったわけれども、ソフトバンクが他の地方競馬も一緒にやるとか、D−netがどうとかというのは、組合から正式なコメントが出ているわけではないから、どう思うかと聞くけれども判断する材料がない。ソフトバンクでの発売に関して言えば、やらないよりもやったほうがいいという程度。経費倒れにならなければだけど。

  ■ソフトバンクでの発売については、ファンも含めて過大な期待を抱いているわけですが。ブレークするという可能性はないですか。

  山本 それは無理でしょう。なぜかといえば岩手競馬に魅力がない。なんでJRAが売れるかというと、マスコミ、スポーツ紙が毎日無料で広告をやってくれて関心を高めてくれているから。じゃ、岩手の賞金25万円のC3級レースに対して、九州の人がソフトバンクの画面を眺めて興味を持つか。岩手競馬の充実をしたうえで、ネット発売をするのなら分かるけれども、岩手競馬がひどいレースをしているのだから、番組の中身をもっと研究するほうが先だと思う。

  ■組合が再生実行計画に盛り込んでいた18年度のJBC開催が川崎で開催されることになりました。ソフトバンクによる馬券発売をめぐって大井競馬などの南関東と競合する部分が目立っているように思いますが。

  山本 どうして、18年度開催は岩手競馬と決まっていたのか。岩手で開催すると決まっていたとは1回も聞いていない。

  南関東は大井中心に行くと言っているし、高知は自販機も大井からもらってやっているぐらいでとても大井の意向には逆らえませんと言っている。南関東外しで他のローカルが組んでもたかだかでしょう。今の競馬はまずJRAがあって、それから地方では大井がダントツで、その下にローカルがくっついている。ソフトバンクがああだこうだとマスコミは騒いでいるけれども、売れるかどうかはやってみなければ分からない。

 ■岩手競馬の魅力を高めるにはどうしたらいいですか。

  山本 まず商品がないとだめだよね。馬の質を高める、血統のいい馬を岩手にもってきてもらって、それが結果を出す。その結果を出したものが東北で勝ち、北海道との交流レースで勝っていく、JRA勢とやって勝っていくということで岩手競馬が認められる。いい馬を集めることが仕事だ。

  ■地方競馬で馬主をビジネスとしてすることはできないんですか。平成14年度の数字なんですが、岩手競馬では報償費の総額が42億円ありました。

  山本 岩手の場合は賞金が安くて無理でしょう。預託料と賞金の関係でいくと、(代金が)ただの馬でも赤字。総賞金が1頭当たり平均400万円あれば、馬の購入費用も出て赤字にはならないと思う。でもいまは27億円ぐらいでしょ。1着の賞金が50万円を割ったらだめでしょう。今25万円だからね。

  ■昔はもっと賞金が高かったわけで、その当時はプラス収支になった馬主も多かったんじゃないですか。

  山本 当時は馬代金も高かったから。今の2倍、3倍している。今の馬代金でその当時買えてたら完全にプラス。でもJRAは赤字にならないからね。出走手当もらって、馬代も出して最終的に赤字にしない体制になっている。

  ■中央と地方とでは賞金が10倍になっている。そうすると地方競馬というのは、賞金的には成り立たないところでやってきたのですか。

  山本 7、8年前までは成り立った部分がある。ここ5、6年のところから賞金が下がりすぎて成り立たなくなっているから、10年前はそこそこよかった時代だと思う。賞金はJRAの10分の1でしょう。預託料は中央の3分の1。そうなると、JRAに馬を置いた方が効率がいいということになってしまう。

  ■賞金を上げるには売り上げを上げないといけない。売り上げを上げるには客を増やさなければいけないわけでしょう。馬主会として考えてはいないんですか。

  山本 客を増やすのもひとつだし、単価を上げるのもひとつ。馬主会というのは馬を提供する側の集まりであって、岩手競馬の経営に対しての注文を付ける立場ではないから。

  ■馬主として出走させるだけの魅力がなくなれば撤退する、ということですか。

  山本 もし条件が合う競馬場があれば馬主はそっちへ持っていくでしょう。

  ■そうして見た場合、岩手競馬というのは再生は可能ですか。

  山本 再生は、競馬組合、馬主会、調騎会、厩務員会の4者が一丸となり、県と両市が応援するということだろう。

 ■岩手競馬の存廃論議は、一般の県民からすれば税金投入してまで競馬を維持しなければならないのか、ということに尽きると思う。そのためには売り上げをアップする必要があるけれども、それについて馬主会としてはタッチしないということなのですね。

  山本 その立場にないということね。4者協議というのは年に何回かあるけれども、これまでも組合から基本方針が決まったことの提示を受けるだけもので、こちらの参考意見を申し上げるということはやられていない。

  ■県馬主会としては、岩手競馬は存続してほしいという立場なんでしょうか。しなくてもいいんでしょうか。

  山本 馬主会は、みんなの団体だから、馬主個々の考えは分かりません。馬主は拘束されるものではないから。ただ、伝統ある岩手競馬を今ここでなくするのはしのびない。できればなんとか岩手競馬が再生してほしい。それには馬主会として協力します。そういう中で補助馬というものも、自分たちの積み立てからお金を出して年に20頭買いに行っている。そういう部分では協力している。

  ■もし、組合から賞金をもう少しダウンさせたいという提案があったらどうしますか。

  山本 提案するのは勝手だけれども、春の時点で今岩手競馬にいる馬の半分はいなくなるでしょう。1月から3月までの競馬休みが岩手にはあるでしょう。もし賞金が下がることになれば。基本的に馬主が離れるということを止めることはできないだろう。提示された賞金がいやなら離れるということになって4月からの競馬はできないでしょう。


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