■ 日本酒にぞっこん 南部杜氏資格選考会に初めて合格した女性杜氏小野裕美さん
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蒸し米の温度を下げる作業を行う小野裕美さん |
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紫波町の廣田酒造(廣田英俊社長)の商品企画室長、小野裕美さん(30)=盛岡市在住=は2004年、南部杜氏(とうじ)協会の南部杜氏資格選考会に女性で初めて合格を果たした。資格を得て2年目となる今シーズンの酒の仕込みも始まり忙しい日々が続く。4歳と1歳の2人の子の母親として、育児との両立に苦労するという。それでも夫や家族、会社の協力を得ながら大好きな酒造りへの挑戦を続けている。
宮城県古川市生まれ。みそとしょうゆの醸造業を営む実家で育ったため「家を手伝えれば」という思いから東京農業大学の醸造科学科に進学。弟も同大に入ったことから、自身は「趣味の方に進もう」と日本酒の醸造を専攻した。
実習で初めて酒造店に入ったとき懐かしさを感じた。年輩の人が多く働く蔵の雰囲気は自身が育った実家に似ていた。「自分にとって楽しく仕事がしやすい」と感じ、酒造りを一生の仕事にしようと決めた。
年間雇用の会社を探し盛岡市の酒造会社に就職。各地の日本酒を飲むうちに「しっかりとした味のある酒」という廣田酒造の酒にほれ込み「雇ってくれ」と社長に直談判。熱意が伝わり03年に同酒造に就職した。
この年、初めて南部杜氏の試験を受けた。「杜氏になりたい」というよりも「ずっとこの仕事がしたい」から。資格があれば会社や家族の理解も深まる。「自分の酒を造ってみたい」という思いもあった。
2回目の挑戦となった翌年に合格。女性第1号となったが「試験を受ける女性が少ないからでしょう」と気負いはない。「これからは女性杜氏がどんどん増えていくのでは」と思っている。
長く女人禁制だった酒造りの世界。「昔は出稼ぎの人たちが何カ月間も泊まり込んで行ったもの。家の中のこともしなければならない女性にとって泊まり込みはもちろん、酒造り集団のリーダーとして責任を持って仕事をするのは難しかったのでは。そういう意味で女性には入っていけないところだったのかな」と思う。
そんな小野さん自身は今、2人の子供を育てながら杜氏として働く。夫の仕事の終了時間が遅いため、保育所に迎えに行くのは自分の役割。定時は5時までだが酒は生き物。温度管理に時間がかかり迎えが遅くなってしまうこともある。
10月初めから3月ぐらいまで続く酒造りのシーズン中は休みを取れない日も多い。そんなときは県内に住む夫の親や、古川の自身の親が「孫の顔見たさに」駆け付けてくれるという。「夫に悪いな」とも思うが日本酒好きのため理解してくれていると笑う。
杜氏の試験に合格した年「自分の酒を造ってみたい」と先輩杜氏に相談。「女性でも飲みやすくすっきりとしながら飲んだときほっとするようなもの」を目指し、純米吟醸原酒「ほ乃香」を造り上げた。
2シーズン目を迎えた今年。すっきりし過ぎる部分があったという昨年の反省から「柔らかくて飲みやすく優しい中にもしっかりとした味も出していきたい」と意気込む。「自分の造った酒を仲間がおいしいと言って飲んでくれるのがうれしい。酒造りは苦労ではなく楽しみ。ずっと続けていければいいなと思う」と話す。 |
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