2006年 1月 1日 (日) 

       

■ 〈白き神々の座へ〉21 矢羽々文一郎 段々畑の水牛

 1970年代に初めてヒマラヤを訪れたおりのこと、ネパール唯一の国際空港・カトマンズのトリブヴァン空港上空で、いったん着陸体勢についた搭乗機が旋回を始めました。

  「ただいま滑走路に牛がおり、着陸できませんのでしばらくお待ちください」との機長のアナウンスに首をかしげました。機窓から眺める飛行場の草むらには牛が群れをなし、のどかに草をかんでおりました。

  現在では立派に舗装された滑走路に近代的なターミナルビルが建ち、旧国際空港は国内線の空港として使用されております。ターミナルビルの屋上は、急傾斜に段々状が設けられ、ヒマラヤの段々畑を象徴して斬新的に設計されたものとのことで、観光立国を指向するネパールの思いが察せられました。

  ヒマラヤの山岳地帯では、標高4000〜4500メートル位までも、段々畑の農耕が営まれ、作付けの種類が低地での米から麦、アワ、ヒエ、バレイショ、ソバ麦と高度により順次異なります。

  農作の知識に疎く、漠然と水牛は水田の稲作の労役に用いる動物と思っておりましたが、ヒマラヤでは標高が高く、狭い段々畑でも水牛が黙々と農耕器具を引いている姿を見て、既存の観念をぬぐい捨てさせられました。

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