■ 迫力そのまま自然の素材を使って張り絵 雫石町の高八卦正一さん
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樹皮など自然の素材を使った春子谷地から見た岩手山の張り絵を制作した高八卦正一さん |
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雫石町御明神高八卦の高八卦正一さん(71)は、樹皮や小枝など自然の素材を使ったユニークな張り絵作りを楽しんでいる。四季折々、春子谷地や御所湖などから眺める岩手山の風景などをスケッチし、採集した材料を張り付けていく。豊かで素朴な自然のぬくもりが、高八卦さんの人柄そのままに描き出されている。
「春子谷地」(70×60センチ)は、県道から眼前に広がる雄大な岩手山、手前にある放牧地の緑をキャンバスの上で鮮やかに描いた。松の木の皮をそのまま岩手山の山肌に見立て、切り立つ岩や砂の質感が見事に表現されている。額縁は仕事の経験を生かして手作りという。
同町西安庭にある歴史民俗資料館の曲がり屋の背景にたたずむ秋の岩手山(80×35センチ)は、曲がり屋の茅葺(かやぶ)き屋根が見事に再現され、紅葉する樹木の葉にはコケを使用している。ほかに滝沢村役場や小岩井農場まきば園などから見た岩手山、松島や三陸海岸などもある。
高八卦さんは「お金をかけずに何かできないかと木の皮、草花を集めていた。春夏秋冬、場所によって見え方の違う岩手山を見て張り絵を始めた。スケッチを持ち帰り、自宅でイメージを膨らませる。冬にスケッチをして少しもの寂しいから色を塗って春に変えた」と楽しそうに話す。
同じ松の樹皮でも根元に近いほどごつごつして堅く、高い場所ほど柔らかくしなやか。色彩も異なるという。家にある採集していた材料でイメージに合ったものが見つからないときは家の周りを散策して探したという。
コケは緑色だが1、2年すると灰褐色になる。防腐や変色を防ぐため水性ペンキで着色を施す。どの素材も乾燥させておけば、半永久的に変化しないのだという。
高八卦さんは現在、和紙ちぎり絵に夢中だ。昨年11月末から12月まで、同町中央公民館で初めて開いた個展には張り絵、和紙ちぎり絵、切り絵など約70点を出展した。町芸術祭にも初出展し、訪れた人はちぎり絵を水彩画と見間違うほどだった。
「普通の絵画よりも、ちぎり絵、張り絵は楽しい。水彩でもスケッチでも気に入った色合いが出せない。うまくぼかしができない。指導者がいるわけではなく自己流なもので」と照れ笑い。
絵が大好きだった。小学校のころ、図画工作の時間は絵の苦手な友人3、4人分の絵を描いていたという。
「好きで好きで仕方なかったけど、仕事が始まると頭にも浮かばなくなった」。中学校もそこそこに父親の仕事を手伝い始め、20歳のころ大工になった。その後水道工事業などにも務め、古里雫石で65歳まで働いた。
再び芸術に触れてから6年目。最初は食事以外は部屋にこもって制作に没頭した。
「一つ完成させると、意識的に次のものをと考えていた。最初の3年間はそうして夢中になったが、今は1日2、3時間。健康のための体操と散歩をしていると、今度は張り絵の材料集めになってしまう」。
制作するだけの自己満足ではなく、多くの人に見てもらいたいと思うようになった。
公民館展示や芸術祭出展のきっかけをつくったのは妻エイさん(69)。健診で再健診となったエイさんを訪問した町保健センターの高村正子主任保健師が高八卦さん宅の作品を目にとめた。「すごい人を見つけた」と公民館に連絡し、展示が実現した。
高八卦さんは「妻のおかげで展示が実現し、再健診で病気も発見して治ってよかった。人に見てもらえるのは最高のこと。張り絵は興味と材料さえあれば誰でもできる。見に来てくださる方がいれば、今後も展示をやりたい」と話してい
る。
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