岩大人文社会学部英米言語文化課程の三浦勲夫教授の退官記念最終講義が1月30日、同大で行われた。テーマは「ことばは時空をつなぐメッセンジャー」。一般公開で行われた講義には、卒業生や学生ら約100人が会場を訪れた。
タイトルには人間が使う言葉の力への信頼の気持ちを込める。「動物も言葉を話すが、人間は現在だけでなく過去、未来のことも言える。言葉を使って時間と空間を自由に渡り歩くことができる」と言う。
ギリシャのホメーロスは著書「オデュッセイア」の中で「翼を持つことば」「空をとぶことば」と書いている。「言語の持つ伝達力、魔術的な力を指しているのではないか」と思う。
1983年から9カ月間、文部省長期在外研究員として、ロンドン大ウェストフィールド・カレッジで英文学を研究。12月から84年1月まで、米国の8都市を回った。帰国後、リスニングとスピーキングの力を形に残そうと、通訳案内業や通訳検定2級、英検1級、国連英検特A級などを次々に取得。資格を取りながら、力を維持するために地元紙の記事の翻訳を始めた。
その後「自分が言いたいことを英語にしたい」と、自分の日本語の文章を英語に訳すスタイルに。盛岡タイムスへの連載を始めた。
翻訳した原稿は必ず、7、8人の英語を母国語にする人の添削を受け、その根拠を聞いた。「翻訳は理系の実験に当たる」と三浦教授。辞書には載っていない文法や発想の仕方を身に付けていった。
英語学習の上達にはこのほか、通訳訓練も適しているという。自分が通訳になったつもりで勉強することは話すこと、聞き取ることの訓練になる。
大事なのはシャドーイング。英文のテープをかけて、意味が分からなくてもとにかく繰り返す。そのうちに、イントネーションやアクセントを通して、感情の込め方が自然に分かってくる。その後、一つひとつの単語を調べて、意味が分かった上でさらにシャドーイングを繰り返す。
シャドーイングの次は、スラッシュリーディング。英語が印刷されている文章を読み、意味の単位ごとに/(スラッシュ)で区切る。速読と正確な読み取りの練習になるという。
翻訳と通訳訓練では十分ではないという。その上に、実際その国の文化の中で生活する異文化体験をすることを提案した。
10年前、岩大の同僚に「定年まで10年を切ると早いよ」と言われた。その言葉を受けて、岩大の学生が外国で英語を学ぶ機会をつくろうと、何度も外国を行き来して奔走(ほんそう)。現在は米国のテキサス大などと留学生を交換し合うまでになった。
退職後の計画については「じっくりこつこつ進めていくのが好き。ジョギングやマラソンをこれからも続けていきたい。自分のホームページの中で、英語の音声を吹き込んだものを誰でも聞けるようにしたい。いずれは、できればラジオ番組にしたい」と意欲を話した。東京外語大英米科卒業。同大大学院外国語学研究科修士課程。
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