2006年 2月 28日 (火) 

       

■ 死を前にした患者と交わした約束の重み ホスピス棟看護師の赤井さんが講演

     
  仙台市光ケ丘スペルマン病院ホスピス棟看護師の赤井聖子さん  
  仙台市光ケ丘スペルマン病院ホスピス棟看護師の赤井聖子さん  
  岩手にホスピス設置を願う会(川守田裕司代表)主催の総会記念講演会が26日、盛岡市若園町の総合福祉センターで開かれた。仙台市光ケ丘スペルマン病院ホスピス棟看護師の赤井聖子さんが「最期まで自分らしく生きるために」をテーマに講演、詰め掛けた一般市民約120人を前に、各地にホスピス設置の必要性を訴えた。

 赤井さんは花巻南高卒業後、96年に看護師国家資格を取得。98年から同ホスピス棟で看護師として終末期を迎えるがん患者ら700人ほどのホスピスケアに携わってきた。

  終末期はあらゆる集学的治療をしても治療に導くことができない状態。むしろ積極的な治療が患者にとって不適切と考えられる状態。「死んで行く人の看護では悲しくて辛い仕事ではと尋ねられる。泣くことはあるけれどわたしは悲しんではいない。いつも今生きている方とかかわっていると思っている」と言う。

  赤井さんは「死に臨んでいる人が苦痛や苦悩の状態から、本来の自分を見つけ出し生き続ける心やエネルギーを持っていることを忘れないでほしい。生きていること、その素晴らしさを実感できるのは他者とのかかわり。そこから一体感が得られる」と実感を述べた。

  終末期の患者の肉体的、精神的な苦痛は想像に絶する。「避けることができない苦痛、悩みにどのように対応し少しでも緩和してあげるか。1月だけ、1週間だけ、1日だけかもしれないが。死のときまでの生をその人にとって意義深いものにできるように。そしてその延長上にある死を、その人らしく迎えることができるような援助」とホスピスの使命、目標を説明した。

  赤井さんは患者と接しながら患者が死の不安に直面している状況に立ち会ってきた。「死で無になる不安が強い。その患者さんの宗教に合わせて次の世をしっかり伝えている。命には終わりがあるが、魂は次の世に続くと信じられている。わたしはカトリックだが仏教の信者には極楽の話を、クリスチャンならば天国の話をする。死は無になることではない」と患者に話すと言う。

  赤井さんは「患者は死後自分が忘れられること、思い出されないことに不安を抱く。家族もない人はもっと切実。その人の存在を忘れたり無視されたりすることはとても悲しく不安。家族もいない人から絶対に忘れないでと言われたことがある。わたしも絶対忘れないと話した。わたしはこれまでかかわってきた人すべてを覚えている」と話した。

  岩手県も含め、東北地方ではホスピスの必要性や正確な情報がまだ広がっていない。赤井さんは「ホスピスに対して良いイメージを持っていない一般病院の医師もいる。患者にホスピスに行く選択情報を与えない医師も。がんの告知はしてもその後のフォローがない」と医療現場での認識不足を指摘していた。



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