はや3月である。迎春のため玄関に置いていた青笹(ささ)、ハボタンなどと寄せ植えした盆栽の紅梅の花もすっかり散ってしまった。庭の梅の花芽はまだ堅い。梅といえば水戸の偕楽園を思い出す。春恒例の梅まつりは2月下旬開幕はしたものの、今年は寒いのでまだ蕾(つぼみ)のままなそうだ。見ごろは3月中旬だという。
偕楽園といえば兼六園(金沢)、後楽園(岡山)とともに日本を代表する三名園である。名君といわれた9代目藩主徳川斉昭が造り「民衆と偕(とも)に楽しむ」との趣旨で名付けたという。
ぼくが訪れたときには、7・5万平方メートルの広大な公園にとりどりの梅の花が咲き芳香に満ち満ちていた。またいつか見た松島の瑞巌寺境内にある紅梅の臥竜梅(がりょうばい)の風格のある姿も忘れ難い。
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今度中学に進む孫が去年の暮れから生け花を習い始めた。お正月には松や千両にとりどりの花をふんだんに使ったおめでたい生け花で客間を飾ってくれた。いまは雛(ひな)祭り、明るい花が雛壇のわきに飾られてひときわ華やかである。そのほかお祝いやお見舞いに持参するような花も作ってくる。
小さな篭(かご)に溢(あふ)れるようにいろいろな花を盛り、美しい色紙で包み、手軽に片手に持てるものだ。「フラワーアレンジ」というそうだ。
先日は入院している友達にメッセージを添えてお見舞いに持っていった。これからも季節ごとに明るく家を飾ってくれるだろう。花とはいいものだ。心がなごんでくる。
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最近、岩手のブランドの開発、発信がよく言われる。盛岡周辺にも美味(おい)しい食物やすばらしい工芸品や産物がたくさんある。新しいアイデアを生かした物がつぎつぎと開発されている。
ぼくは水と木に恵まれた盛岡の自然風物、建築物、そしてやさしい人情も大事なブランドだと思う。いわば、わが街の再発見と全国への発信である。例えば中津川をはさむ上の橋、中の橋、下の橋と不来方城跡、岩手銀行、商家の白い壁。報恩寺を中心とした北山、さらに寺町。大慈寺をめぐる水辺と鉈屋町の下町風景を通って八幡宮までの道などたくさんある。
また盛岡は啄木、賢治の青春の地、詩と彫刻の街でもある。郊外には小岩井がありダム湖があり温泉が多い。川べりの景観は金沢の犀川(さいかわ)にもひけをとらない。この盛岡の街を市民みんなでPRをしつづけたいと思う。
光あれと ねがふとき/光はここにあった−/鳥はすべてふたたび私の空にかへり/花はふたたび野にみちる/私はなほこの気層にとどまることを好む/空は澄み 雲は白く 風は聖らかだ
立原道造
愛宕山のグランドホテルの裏山の雑木林の斜面に詩碑が建っている。そろそろ小鳥もさえずるころだ。
四方より水音のして木まんさく
利府ふさ子
一人居の声出し笑ふ春障子
森谷璋子
蓮台野青き雪降る夢のなか
川村杳平
(北宴同人)
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