双子座の
あはきひかりは
またわれに
告げて顫ひぬ 水いろのうれひ。
〔現代語訳〕双子座の淡い光は、またわたしに告げて顫(ふる)えたのです。水色の憂いで。
〔評釈〕「大正五年三月より」〔「歌稿〔B〕」〕八十四首中の三十二首目で「283歌」。結句「水いろ」は、「歌稿〔A〕」では、「水色」の表記。「双子座」は、冬の星座で、主星の二つは、その色彩から「銀星(星)」、「金星(星)」と言われるから〔『新宮澤賢治語彙辞典』〕、抽出歌でも、なぜ「水いろ」なのかは、(童話「双子の星」の「青い星」と並んで)問題となろう。第三句の「また」も難物の一つ。「また」は、その行為が以前にもあったことを示す語だが、その確定が、(「267歌」の「さそり座」の場合のように)困難だからである。なお、「顫ひぬ」と「水いろのうれひ」の主体は、「双子座」なのか、話者自身なのかの論点は、ニュー・クリティシズムの「曖昧(あいまい)性」論議にも通じることになろう。
(岩手大学教授) |