2006年 3月 7日 (火) 

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉151 八木淳一郎 不思議な星「ミラ」

 くじら座は秋の星座なので遅い時刻には沈んでしまって見ることができません。しかし3月21日に春分の日を控えてまだ日の暮れるのも早く、見通しのいい場所ならばくじら座だけでなくアンドロメダ座、おひつじ座といった秋の星座を西の空に見つけることができるでしょう。

  そのくじら座の星の一つに、ミラという名前の星があります。あれ?どこかで聞いたことが、とお思いの方もいらっしゃるでしょう。そうです。車の名前にミラというのがあって、これは星の名前を拝借したものでしょう。ミラというのは不思議を意味するラテン語のミラクルから転じたものといわれます。では、一体何が不思議だというのでしょう。

  それは16世紀の末、ドイツの牧師であり天文学者であるファブリキウスという人がくじら座のいままで星がなかった位置に3等星の星が輝いていたのを発見したことに始まります。しばらくは人々から忘れ去られていたのですが、それから何年かしてまたまた同じように光っているのをファブリキウスが見つけたのでした。星は明るさが変わらないと思われていた当時の人々にとって実に不思議な出来事ではありましたが、なぜか誰も注目しませんでした。やがて17世紀半ばになって、ポーランドの天文学者へべリウスが「不思議な星の小史」という著書にこのことを著したことで広く知られるようになったのでした。

  今では明るさの変わる星(変光星)の数も原因もたくさんつきとめられています。ミラは332日の周期で2等星から10等星まで明るさが変わる星で、その原因は脈動星といって星が膨らんだり縮んだりするためと考えられています。ちなみに、イエスキリスト生誕の時に輝いたベツレヘムの星が何であったかさまざまな説がありますが、その一つにミラが最も明るく輝いたものではないかというものがあります。

  ミラは今月19日が極大日(最も明るくなる日)と予想されています。その前後数日間は明るく見えるでしょうが急速に暗くなっていきます。次の極大までは10カ月以上待たされることになりますので、この機会にぜひお見逃しなく。(盛岡天文同好会会員)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします